___ 8. ページ8
.
『またね、』
名残惜しそうに鳴くソフィアに小さく手を振って
起きるはずがないこーちになぜか気を遣ってそっと扉を閉めた。
こーちのアパートから私の家まで歩いてほんの僅か。
私も樹も無言のまま、もうすっかり慣れた道を同じ歩幅で歩く。
聞きたいことがあるのに
お互いくすぶって聞けない、そんな感じに見えて
今日 暑いね
なんて話しかけても、樹は返してくれず無言のままで
だけど家に着くまでずっと
小さな私の歩幅に合わせて車道側を歩いてくれた。
『ありがと、家まで送ってくれて』
「………、」
ずっとそうやって喋らないつもり？
目は合ってるのに、
私の言葉には何一つ返してくれない樹に腹が立って
じゃあね、気を付けて
と、拗ねて強引に扉を閉めようとすると
「…… 慰め会って何？」
じっと私の目を見て、
失恋でもしたわけ？と続けて不機嫌な口からこぼした。
『 …それはジェシーが、』
「ジェシー？」
ジェシーが勝手に言ってただけだよ
そう言おうとしてやめた。
だって、樹の目が真剣なんだもん
それって、私の恋愛に少なからず興味 持ってくれてるってことでしょ？
「ジェシーがなんだよ」
『…何でもない、
ていうか早く帰んないと終電逃すよ』
「もうねぇよ。
逃したし泊めてくれんでしょ？」
…ずるいよね、ほんと
私がその頼みをされたら断れないこと、
分かってて言ってるんだから
「どっち？泊めてくれんの？
それとも歩いて帰れって？」
苛立った声で、前髪をかきあげて
『そんなつもりもないくせに、』
今までだって、いつだって
そうやって私の家に泊まる機会はあったはずなのに
避けてたのはそっちでしょ。
終電 逃したのだって今日が初めてじゃない。
タクシーでも歩きでも何でも帰るって
近くの女の家にでも泊めてもらうって
…いっつも私が望む答えから避けてたくせに。
「…… じゃあ、
そーゆーつもりがあればいいんだよな？」
ねぇ、樹
そんな簡単に期待させないで
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉帆(プロフ) - 久々の更新嬉しいです！楽しみにしてます！ (3月7日 3時) (
レス) id: 68b2be3bb7 (このIDを非表示/違反報告)
maundy(プロフ) - 更新ありがとうございます。すごく嬉しいです！！樹にもほっくんにもめちゃくちゃときめいてます！固唾を飲んで続きを見守らせていただきます。 (12月12日 13時) (レス) @page46 id: 0a6eebb885 (このIDを非表示/違反報告)
maundy(プロフ) - ほっくんとの続きが気になっていますが、更新の予定はありますか？卒業式に話せたのかな、どんな話になったのかな、とドキドキしています！ (11月27日 8時) (レス) @page44 id: 0a6eebb885 (このIDを非表示/違反報告)
makoyulove(プロフ) - 大好きな小説です＾＾続編も欲しいくらい！！ (8月23日 23時) (レス) @page44 id: bfe610f7f4 (このIDを非表示/違反報告)
みと(プロフ) - もうじゅったんかっこいいって思いながら毎回楽しく読ませて頂いています♪続きも楽しみにしてます🫶 (8月1日 22時) (レス) id: cc723408f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ x他1人 | 作成日時：2023年7月13日 17時
