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帰るわ。と伝えてケータイを開けば日を少し跨いでいた。
仕方なしに一旦マンションへ帰り、シャワーを浴びる。
流石に髪の濡れた状態でバイクには乗れないのでドライヤーをかけて、スエットに着替えて上着を羽織り、再びハーレーに跨った。
佐野家に着きバイクを停めて、開いてるかわからないドアに手をかける。
簡単に開いたドアを出来るだけ静かに開けて鍵を閉めて、真っ直ぐシンイチローの部屋の扉を開けた。
暗くなった部屋からは静かな寝息が聞こえていた。
そっと近付いて、カーテンの隙間から漏れる明かりに照らされた寝顔を見つめて顔にかかる髪に触れた。
うっすら開いた口で私の名前を呼び、そっと腕を伸ばして来たシンイチローはいとも簡単に私を自身の腕の中に閉じ込めた。
「おかえり」
『…ただいま』
「家でシャワー浴びて来たのか?」
『うん、みんな寝てると思って』
寝起きのいつもより低く、少し枯れたシンイチローの声が心地よく鼓膜を振動させる。
「冷えてんな」
『……今は暖かい』
その返事を気に入ったらしい。ギュッと腕の力を強めたシンイチローは満足げに、そうか。と呟いた。
どちらが先に眠ったのかはわからないが、少し揺れたベッドに目を覚ました。
ムクっと体を起こす私に振り返ったシンイチローは少しバツが悪そうな顔で、悪い起こした。と言ってボサボサになった私の髪を撫でた。
まだ、覚醒しない頭で身支度を済ませるシンイチローを見つめる。
「後で店来るか?」
『……ん』
靴下を履きながら聞くシンイチローに、全く動かない頭で今日の予定は何もない事を思い出して小さく頷いた。
「わかった気をつけて来いよ」
その様子にハハッと笑い、笑顔で出て行ったシンイチローにヒラヒラと手を振る。
結局まともに動き出したのは昼ごろで、じいちゃんに怠けよってと小言を言われたが気にする事なくバイクを飛ばした。
店に入るとワカとベンケーも揃っていた。
「お、A来た」
『おはよ〜』
「もう昼だわ」
そっと手を伸ばして自分と同じ色の髪をサラッと撫でるワカは、飯食った?と聞くが、それに首を横に振った。
ワカの後ろに乗っかって買ってきたバーガーを4人で食べて、夜になるまで店で駄弁り、シンイチローと並んで帰る。
そんな日々を1週間ほど続けたある日の昼。
いつも通りシンイチロー店で1人シンイチローの手元を見ていると、ケータイに見知らぬ番号から電話がかかってきた。
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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨ 頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!! これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時