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ぱちっと目が覚めた。



見覚えのあるような無いような天井と、埃っぽい薄暗い廃墟ではなく、太陽の光が窓から差し込み、鳥の声が聞こえる場所に居ることにも意味がわからないが、どうやら寝ていたらしい自分自身にも意味がわからなかった。



『は?』


ガバッと起き上がり、周りを見渡す。


『ぁ、そうだ
シンイチローの部屋だ』


ベッドから降りようとした時、扉が開いた。



「起きたか
気分はどうだ?」



『え?普通』


「普通か」


フッと笑ったシンイチローはなんか食えそうか?と聞くが、謎に違和感のある会話だ。



『うん、食べる…え?今何時?』


チラッと時計を見たシンイチローは9時。と答えた。



ずっと寝てなかったにしては、案外まともな時間に目覚めたらしい自分に拍手喝采である。




「3日後の」





『は?』






ポカンとシンイチローを見る私の顔はさぞや間抜けだろう。


小さく笑ってそっと私のおでこに手を添えたシンイチローは、よし。と呟いた。



『え?何の良し?3日?は?』


「お前あの後、熱出してうなされて大変だったんだよ」



『え、熱?』


「じいちゃん曰く、雨で冷えたってのもあるけど、1番は気が緩んだんだろって」



確かに言われてみれば、あんなに安心して気持ちよく眠ったのは半年ぶりだ。



『看病してくれてたの?』



「と言っても夜にタオル変えるくらいしかしてねぇけどな」



日中はエマがしてた。と言うシンイチローにマジか。と返す。


『エマは?』


「台所にいると思う」



台所に行こうとベッドから立ち上がると同時に扉が開いた。




「あ!お姉さん!!起きた!」



『エマ、ありがとう
ごめんね』




ううん、何か食べる?とキラキラお目目で聞くエマは天使だ。



「お粥にしてやってくれ」



うん。と言って走って行ったエマを見送り、顔を両手で覆う。



「どうした?頭痛いか?」



『今度来る時エマの好きな物持ってくる
何が好き?好きな人でもいいよ』



「いや、人はまずいだろ…
お菓子にしとけ」



『わかった…無理かわいい』



お粥を持ってきたエマが、ふーふーする?と聞いてきたあの顔はほんと罪深いがひとりで食べた。



『ごちそうさまでした』


「おー、完食したな!
んじゃいくか」



『どこに?』



「店に決まってんだろ」



立ち上がったシンイチローに30分待ってと言い、シャワーを借りて身支度を済ませた。




今度は恥ずかしくもなくシンイチローに掴まる。

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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨   頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!!  これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時

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