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「いや、お前…それはまずいだろ」



顔を赤くさせてワタワタしているシンイチローの足元を見ながら呟く。



『…帰っても、誰もいないもの…』



ピタッと止まり、少しの沈黙のあと片手で顔を覆ってため息と共にしゃがみ込んだシンイチローは私の頭に手を乗せた。



「わかった
俺の家来い
風呂も入らねぇと風邪ひく」


それでいいか?と聞くシンイチローにコクンと頷いた。



風呂入れといてくれ。と電話を切ったシンイチローはバイクのキーを持っていくぞ。と声をかける。



シンイチローの後ろに跨り、そっと腰に手を回した。


慣れているはずなのになぜか感じる恥ずかしさを誤魔化すようにぎゅっと力を入れる。


フッと笑われた気がするが、雨の音で気のせいだと思うことにした。



途中コンビニで必要なものを買い久しぶりに来た佐野家。



「悪いなエマ」


「ううん!お姉さんゆっくり入ってね!真にぃは近付けさせないから!」



妹に信頼されてなさすぎて笑けてくる。



覗かねぇわ!!と声と共に脱衣所から出たシンイチローは扉の向こうから、よく温まれよ!と声をかけた。



ここのところずっとシャワーだけで済ませていたため、お湯に浸かるのは久しぶりだ。



家のお風呂よりかなり狭めの、日本っぽいお風呂。


大人と子供でギリギリの大きさの湯船に肩まで浸かる。



『暖かい』


お風呂も、人の心も。



ずっと張っていた緊張の糸が緩んでいくのを感じた。



ザバッっとあがり、途中買った下着とシンイチローのスエットを着て廊下をペタペタ歩く。



リビングに行くと、エマとシンイチローとおじいさんがいた。



「おー、出たか
ドライヤーと傷の手当てだな

悪い、エマ頼むわ」



そう言ってお風呂に向かったシンイチローを見えなくなるまで見つめて、エマもドライヤーを取りに行った。



『あ、すみませんこんな時間に』


「構わんよ
心が休まるまでゆっくりしていくといい」


『っ…』



なんでこんなに暖かいのだろう。


また溢れそうになった涙を、キュッと唇を噛んで止める。


スッと頭を下げた。



「お姉さんどうしたの?」


「どうもしとらんよ
挨拶だ」


ドライヤーと救急箱を持って帰ってきたエマにおじいさんが答え、部屋を出て行った。



『ありがとうエマ』



ドライヤーもしてもらい、顔と手の手当てをしてくれているエマに目を合わせる事ができないままお礼を言う。



「ううん、でも、、お姉さん綺麗なのにもったいない」

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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨   頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!!  これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時

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