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『この写真を今日中に教育委員会とコイツの家族と学校に送れ』


はい。と返事をしたタダのを振り向き、頼むそれだけは!!と言う校長の残り少ない髪を掴んで顔を寄せる。


『お前の返事は、はいかYESしか存在しない』



「わ、わかった……」



その答えに腕を持つタダと、髪を持つ私はパッと手を離した。



膝から崩れ落ちた校長のポケットからパサっと黒い折り畳みの財布が落ちた。


それを拾い上げて中身を見る。



免許証の住所を確認してまだ中に何か入っているのを見つけ引っ張り出した。



1枚の写真でおそらくコイツの家族の写真だろう。



楽しそうに笑う小さな女の子と、美人の部類に入る女性。
そして今よりかなり若く、まだ髪も黒くふさふさしている校長。



ふんっと鼻で笑い財布に戻して、未だ地面に座る校長の手元に投げ捨てた。



『テメェの娘くらいの女買ってるからそんな目に遭うんだよ
そんなこと家族に知れたらお前の人生終わりだな』



ふふっと笑い校長を置いてBARへ帰った。



「……」


『なに?』


隣でジッと見つめるタダに、顔を見ることなくタバコに火をつけながら聞く。



「…ご自宅には帰らないのですか?」



『誰も居ないもの』



ふぅ。と天井に向けて煙を吐いて呟いた。



「最後にちゃんと眠ったのはいつですか?」



そう。蘭と竜胆がいなくなったあの夜からまともな睡眠をとっていない。


布団にも入っていないし、横になってもいない。



BARの中で座ったまま目を閉じることはあるが、少し意識が遠くなっても人の気配で起きていた。



『お前はもう帰っていい

明日20時に狸ジジイが呼んでいたからそのつもりで来て』


タダの質問に答えることなく明日の予定を伝える。



「狸ジジイですか?」


『メガネのスーツ男のボスだ』


ほんと胡散臭い奴らだ。


『あの狸も毎回危険な橋を渡らせてくる
私が足を滑らすタイミングを虎視眈々と狙ってるんだ

油断するなよ』



灰谷を利用するだけしといて使えなくなったら消すつもりなのだろう。


ナメてもらっては困る。こちとらそんな生半可な覚悟で足を踏み入れていない。


なんせ私の後ろには可愛い弟が2人もいて、あと半年ほどで帰ってくるのだから。




いつも1人帰って行く時は後ろ髪を引かれるように帰って行くタダをカウンターの上から見送る。



ジジイ共をそろそろなんとかしておかないと、年少から出てきた蘭と竜胆に危害が出そうだ。



細めのタバコを咥えて火をつけた。

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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨   頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!!  これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時

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