20回振ったあの子は灰谷姉でした

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『イルミネーション行きたい』



夜ベッドの真ん中に寝転がってそう言うと、ケータイを充電器に刺していた蘭がイルミネーション？と反応する。




『そ！テレビで見てね、キラキラしてて綺麗だったの！』


「消すよー」


『竜胆がイルミネーション消そうとしてる』


「で！！ん！！き！！」



ケラケラと笑うとバチンと電気を消した竜胆がズカズカとベッドに入ってくる。


竜胆の頭を抱えるように寝転がった私の後ろで蘭がゴソゴソと体制を整える。



「いつまで？」


『25だった』



明日じゃん。と布団を上に引っ張る蘭は今日はこっちと、私の体を回転させた。


竜胆より少し背の高い蘭は私の頭を抱えるように寝転がる。


突然包まれていたものがなくなった竜胆はもーーと言いながら私の腰に手を回した。脚まで絡めてくる始末だ。



今日はきっと寝苦しい。


「じゃ明日行こうな〜」


そう言った蘭はサラッと髪を撫でた。



後ろからはもう寝息が聞こえている。



不思議な安心感を感じる。
たまには包まれるのも悪くない。そう思い目を閉じた。











.
..


予想通り寝苦しさで目覚めた。


もう朝だ。



それでも一晩寝れるのは昨日泣いて疲れたからだろうか。



まだ2人は寝てる。



普段竜胆の寝顔は見れるが蘭の寝顔は滅多に見れない。


レアだ。


視線で起きたのか、ゆっくりと蘭の目が開いた。



『おはよう』



竜胆を起こさないようにそっと言うと蘭もおはようと返してくる。



最近蘭の雰囲気が変わった。
以前もよく笑っていたが挑発するときや、相手を殴るときにする笑いが多かった。


でもここ最近は丸くなった気がする。



じっと見つめていると、ん？と片眉が上がる。



『最近丸くなったね』


「え、太った？」


『雰囲気が』


そう言うと、あーー。とちょっとバツの悪そうな顔をする。



「あの校長に言われたんだよ

余裕が大事だって」



どうしてもトランプや口で勝てなかった蘭は校長に聞いたらしい。
考えが読めない、なぜ挑発に乗らないのか。と



「常に笑っていれば余裕がうまれる

喧嘩を売るのは余裕のない人だ
買う側にいたいのなら余裕を持っていなければならない

もし余裕がなくても笑顔崩さず余裕を見せれば相手は焦る」



ってさ。なんだっけ、ポーカーフェイス？と言う蘭にうん。と答えて、最近の蘭から感じる安心感はそれかと納得する。


きっと蘭は敵に回すと厄介だろうな、とこれから敵になる人たちに同情した。

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