わんうぃーく！ (ページ42)

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わた？のはなしページ42

｢着いちゃった……｣

早々に支度を終えた私はとりあえず足の向くままに気の向くままに歩くことにした。案の定カフェには着いた。以上。

なぜかは分からないが何となくここが彼女との約束のカフェな気がするんだ。

お冷を飲みながらメニューを眺めていると店の入口のベルがカランコロンとなった

｢あら？もう来てたの？早いのね｣

｢そうですか？｣

｢だって………いや、やっぱいいわ｣

バックを椅子の背もたれにかけて腰掛けながら言葉を濁す彼女は、ただ普通の、誰もが行う所作なのに1つ1つが美しく見えるのは彼女があまりにも美しいからだろうか？
なんにせよ言葉を濁されると気になってしまうのは人の性というものである。すぐに聞き返すと、いやね、貴方足遅いじゃなーい！と答えた。これは多分さっき出そうとした言葉ではない気がする。
私は彼女の事を知らないが、何となく、そんな気がするんだ。

・
パンケーキを食べたあと私たち女二人は宛もなくただただそこら辺をぶらついていた。前の黒髪をダラダラ追ってると私の家の近くの河川敷まできていた。

｢あー美味しかった！また食べに行きましょうね！！｣

｢そうですね。また行きましょう｣

｢…………ねえA？｣

｢はい｣

｢貴方…時の悪魔って知ってる？｣

知ってるも何も。
その名前は先日私が死に物狂いで倒した悪魔だ。

｢知ってますけど……何かあったんですか？｣

いつの間にか背は向けたまま立ち止まってそんな事を聞くものだから思わず私も唾を飲み込んで次の言葉を待っていた。

｢そう……だからここに来てしまったのね｣

｢え………？｣

｢…いいえ。なんでもないの。｣

艶やかな黒が風に遊ばれている。
彼女はこちらを向いて何処までも凪いだ瞳で私を見つめるものだから、1歩でもそこから動いたら吸い込まれそうな気がして、
私はさっき言われた事も忘れて呆然と立ち尽くしていた。

それがいけなかった。

次の瞬間。私がやっと瞬きを思い出した瞬間。彼女は消えていた。