わんうぃーく！ (ページ32)

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わんうぃーく！ページ32

「悪かったな、どこか怪我してないか？」

「いいえ。私は大丈夫です」

「ところで、今の状況が全く呑み込めないんだが」

説明してくれないか？と続けた先輩に、私は今までの事(勿論私がアキくんと呼んでいた事は伏せて)を全て説明した。
話の途中にデンジくんとパワーちゃんが参戦してきたので後半殆ど面白おかしく盛られていたが、まあ概ね合っているだろう

「そんな事があったのか、どおりで時の悪魔を退治した後の記憶が無いわけだ。」

顎に手を当てて何か考える素振りをした後、私と向き合った。

「A」

「はい。」

「お前が、たった1人て時の悪魔を倒したって事でいいんだよな」

「え、まあ、倒しましたけど…？」

それがなにか？というのを含めた視線を送ると、彼は微笑んで私の頭に手を乗せた

「よくやったな、俺達の代わりに倒してくれてありがとう。」

なでなで。
あまりにも私の頭を優しく撫でるので、なんだか少し寂しくて涙が出そうになった。
思わず目を瞑る

「こちらこそ、ドーモ…」

「なんじゃ？A？顔に血が集まっとるぞ？」

「なってないよ！！！！」

「ホ〜？」

ニヤニヤと笑うパワーちゃんから目を背けると、広がるのは青。それは例え彼の姿が元に戻ってもなお、変わることは無いのだ。

「ねえ、デンジくん」

「なんですか？Aさん」

「2人分のグローブって持ってきてる？」

「いや、まあ、はい。やる予定だったし」

「何の話だ？？」

不思議そうにしてる早川先輩が私とデンジくんの間に入り、手元のグローブを覗いた。

「実はさっきまで、先輩とキャッチボールしてたんですよ？私。」

「え」

唖然としている先輩を横目に私はそばに置いてあった野球バットを拾って彼の方へ向かって突きつけた。

「なので今から野球をしましょう。四人で。」

その場が凍りついた。