むいかめ！ ページ28
｢ねっねえアキくん………！｣
｢？なんだよー！｣
｢なんか、身体に違和感とかは無い！？！？｣
｢はあ？そんなもんないけど！！！｣
いつものように八の字に眉を寄せて怪訝そうに首を傾げた。かわいい。
いや。今はそんなことを考えてる場合じゃない
先程までの穏やかさはどこへやら、心臓が早く脈打ち自然と呼吸も浅くなる。
嫌な予感がする。でもあの時、時の悪魔は確かに自身が死んだ時に能力も解除されると明言していた。
あの状況で嘘をつけるとは到底思えないし、何か原因があると思うのだが。
元に戻らなかったら…私………どうすれば……
早川……先輩……
｢どうしたんだ？｣
｢わっ！！？｣
先輩は、俯いた私を下から見上げて、悲しそうにしている。
｢A。どうして泣いてるんだ？｣
泣いてる。。？私の事？
彼にそう言われた瞬間。自分の目から水が流れている事に気がついた
｢ほんとだ、なんで………？｣
ぐしぐしと両手を使って拭ってみたが、それでもまた新しい雫が頬を伝う。あれ、あれ、と何度も擦っていると、横から腕を掴まれた。
｢擦ったら…駄目だ……｣
｢ごっごめんっ｣
先輩に言われてしまっては仕方が無いと手を止めるが、一緒に涙も止まるわけがなくて。
鼻水も出てきた。
思わず今度はしゃがみこんで顔を伏せた。
勢いよく顔に膝が当たってかなり痛いが、今最高に不細工な顔をしているはずなので、絶対に見せまいと膝と膝の間に更に鼻を埋める。
すると今度はさっきと同じ方向から私へ語りかけてきた。
｢A、あのさ｣
｢ﾅ゛ﾆ゛…？｣
｢俺、Aとあってほんのちょっとしか経ってないけど、それでもお前は俺の我儘沢山聞いてくれたよな。｣
我儘？？
・
『あ…えっと……お腹すきません？よかったらなにか作りましょうか？？』
『………ハンバーグ』
『え？』
『ハンバーグがいい』
・
『どれがいいですか？』
『………』
『怒ってます？』
『すみません。でも今日は先輩の物を買いに来たんです。』
『だから先輩が欲しいと思ったものはできる限り買いたいので言ってくれると嬉しいです』
『！！！………』
『これ…』
・
『ねえA』
『ん？』
『…………』
『なあに？』
『抱きしめて欲しい』
『…いいよ』
もしかして今まで私が叶えてあげたくて聞いてきたアキくんのお願い事は、アキくんにとってはずっとわがままのつもりだったの…………？？？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空村 | 作成日時：2021年3月16日 21時
