よっかめ！ ページ14
今日の私はワックワクのウッキウキあった。
なぜかというと本日、私がずっと行きたかった念願のパンケーキを食べに行くのである！！！！！！
そのカフェにはずっとずっと行ってみたかったのだが、生憎私は入社1年目のあまちゃん。
ほぼ毎日仕事で精一杯だった私は帰ってきた後は大抵死んだように眠り体力を回復させる事がざらにあった。休みの日も少しでも自分の力をつけるためにずっと走り込みや体術などのトレーニングをしていた為、行きたくても行けないどうしようもないジレンマを抱えていたのである。
休みの日なんだから1日くらい……とカフェに足を運んでみようと考えた事はあった。
だがその度に自分はまだまだ未熟者で簡単に死んでしまうくらいに弱い存在なんだ、と己を戒めていた。命大事に。私は絶対に殉職だけは嫌だ。死ぬなら沢山の人に見守られて死ぬのだ
だがしかし！！！1週間という社会人にとっては長い期間の中で己の心身を癒し、少年を保護するという使命(という名の建前)を獲得した今の私はなんでも出来るぞ！！待っててね！！パンケーキ！！！！
｢アキくんアキくん、今日はパンケーキを食べに行こうと思ってたんだけど｣
どうかな？と下を向き、私を背もたれにして今日も今日とてテレビを視聴する彼に聞いてみた。
｢パンケーキ｣
｢パンケーキだよ｣
｢食べたい｣
｢じゃあ食べに行こうね｣
｢着替えてくる！｣
｢よしきた40秒で支度しな！！｣
・
カフェに着いた私達は、真っ先にパンケーキを注文してそれぞれの頼んだものを見つめる。
｢うへへ、美味しそうだね｣
｢大きいな｣
｢食べきれなかったら言ってね？喜んで食べてあげるよ｣
｢それは嫌だ｣
｢そんなこと言わずにい｣
1口分に切ったパンケーキを口に含むと、チョコとクリームが舌の中で溶けてとても甘く感じた。
目の前で今私が食べたものとは違うトッピングの物を食べている彼に、またパンケーキを1口分に切りそれを差し出した。
｢ほれ、あーん｣
｢！！……………………はぁ？｣
驚いたからか、どうやら食べていたものが喉に詰まったらしく暫く苦しそうにしてから少し涙目で睨んできた。
｢美味しいから食べてみて欲しいなって｣
｢嫌だ｣
｢何故｣
少しの間攻防戦を繰り広げ、互いに譲れない思いを胸に抱えながら遂に私は口を開いた。
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作者名：空村 | 作成日時：2021年3月16日 21時
