ぜろにちめ！ ページ1
｢えっ……あの…マキマさんこの子は一体…？｣
｢早川くんだよ｣
｢……………な、るほど…｣
視線を少し下に向けてみると、そこには小さくなった先輩らしき美少年がいた。
先輩は私の方をじっと見つめている。
｢あの…マキマさん。彼は何故小さくなっているのでしょうか…｣
｢ああ！説明するのを忘れていたよ、ごめんね。実は…｣
マキマさんが言うには、昨日の仕事で早川先輩はバディの姫野先輩と一緒に時の悪魔という時間を操作する能力の悪魔を倒しに行ったらしい、
悪魔自体はそこまで強くなかったものの、最後の力を振り絞った懇親の一撃を姫野先輩から庇って攻撃をモロに受けてしまったらしい。
時間が経てば戻るだろうと今日まで待ってみたものの、一向に戻る気配がない為早川先輩の住んでいるマンションのおとなりさんの私に白羽の矢がたったとの事だった。
｢早川くんが元に戻るまでの間は姫野ちゃんは臨時で別の人とバディを組んで貰うことにしたよ。｣
｢そうですか｣
｢Aちゃんの新しいバディを見つけるまでだけでいいんだ。お願いできるかな？｣
｢………………｣
私のバディは先日、私の目の前で帰らぬ人となった。新人の私にとても優しくしてくれた方で、時には厳しく鍛えて貰ったこともあった。
彼女はとても強い人だった。
それでも死んでしまったのだ。初めて体験した事だったからか、未だにあの時の光景が頭の中にこびりついて離れない。
そんな様子の私を見兼ねたのか、マキマさんから1週間ほどのお休みを頂いた。
と思っていたが、成程。つまりしばらく役に立たなさそうな私にお守りをさせようという魂胆か、はーー成程成程。
｢Aちゃん。これはなんだと思う？｣
｢そっそれは！最近人気のカフェのパンケーキ無料券！！！｣
｢Aちゃんにプレゼントしようと思ってたんだけど、｣
どうしようかな？と見つめてくるマキマさんに思わず任せて下さいと即答してしまった。
こうして私と早川家の1週間が幕を開けるのだった。
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作者名：空村 | 作成日時：2021年3月16日 21時
