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〜ウジside〜
「それにしても、どうしたんです?急に韓国までいらっしゃるなんて」
『いや、このままAちゃんと一度もお話をできないまま籍を入れるのはいかがなものかと思って…昴さん、お父さんには内緒で来たの』
「それはそれは…」
『ごめんね、迷惑だとは思ったんだけど、』
.
.
ウジ「…」
別にこれは盗み聞きでもなんでもない
俺はただこの部屋に荷物を取りに来ただけだ
決して違うぞ
そもそも、日本語の会話なんて聞いたって俺には分からないわけだし、なんの問題もないだろう
「お話っていっても、私は特に再婚に関して反対とかしてないのでその辺の心配は…」
『そうじゃないの、そうじゃなくて、』
声色を聞くに、ヌナのお父さんの再婚相手は想像よりも若い女性のようだ
扉の隙間から中の様子を覗きたい衝動に駆られつつ、俺は壁に背中を預けて音を立てないようにズルズルと座り込んだ
『お祖父様やお祖母様からお話はよく聞いているの、
Aさんとはあまり、こう、関係が良くない、私たちに会いたがらない、って』
「あ〜…関係が良くないというか、なんというか」
おじ…おば…?祖父母の話をしているのだろうか
そういえば、以前彼女からこんな話を聞いたな
私は祖父から毛嫌いされていて敷居を跨ぐことさえ許されていない、と
おいおい、この人は一体どんな家に生まれたんだ、と驚いたのが記憶に新しい
〜Aside〜
連日の寝不足に加え、デビューを目前にした私の脳みそは既にキャパオーバーだった
写真でしか見たことのなかった父の新しい奥さんが、わざわざ海を渡ってまで私に会いに来てくれたというのに
何か話さないと、そう言葉を捻り出そうとすればするほど何も思いつかなかった
.
.
「…私、もうすぐハタチになるんですよね
ここの国では既に21ですけど」
『あ、うん、そうだね』
「
『私?私は今年で30歳になるかな』
「…30」
見てくれはいいと言えど、うちの父は今年で確か43歳だ
あんなオヤジと結婚する事に抵抗はなかったのだろうか
きっと彼女は今回が初婚のはず
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作者名:en. | 作成日時:2024年2月29日 22時