氷柱【和泉奏秋】 ページ4
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恐らく、どんな事柄でも俺が俺である必要は無いのだと思う。そこにいるのが君でないといけない理由はどこにもないと思う。君がAである必要は探しても見つからないと思う。何を手にしても同じぶんだけ失っている。そんな気がしてならない。
木戸川に吹く風はひどく湿気を含んでいて、そのうえごわごわする。空気の粒一つ一つに棘が付いてるように俺の頬を刺す。
変わらない教室だった。いつも寸分違わず一定の朝かと言われれば違うけれど特に代わり映えの無い日々を割れないようにしてもてあそんでいた。乱暴にしながら、尊んでいた。
恋をしてもしていなくても月が満ちたり欠けたりする訳で、これといって特別なことなんかじゃない。でもきっと俺の場合それを恋とは呼べないのだろう。恋とは呼べない。呼んだら、それは名前だけ借りた別のものになってしまう。そんな気がする。ただ茫然自失の毎日を。出来るだけ求めすぎないように。何かへ熱くなりすぎないうちに。
「和泉くん」
丁度授業のノートを閉じてしまった所で、Aさんは俺の前ではにかんだ。なるべく温厚に振る舞って用件を聞いても、大した用事では無い。分からない問題があるだけだった。
頼られることは嫌いじゃない。ただ俺は。俺は。君が君で居られる事に嫌悪感を覚えている。俺が俺で居られないことに劣等感を覚えている。
分かってる。分かってるんだ。こんなこと本当は考えなくて良いという事に。これは俺のゆき過ぎた自己嫌悪に過ぎないのだと。俺が俺で居ることの定義なんてどこにもない。君が君で居るために必要な事なんて何一つとしてない。だってそれはまさしく君じゃないか。恋をしてもしていなくても、そんなの互いに分かりきってる。
「……和泉くん。和泉くん？」
「……うん。後は解けるよね」
誠実に生きるというのは難しい。たった一人の倫理で人生を語るのはおかしいと思う。ただ、けれど。俺はいつも何かを得る度同等の何かを失い続けていると思う。いつも足し引きの答えは0でつり合って等しく在り続けていると思う。
だから君を好きになるたび、君を手にしようとするたび、俺の心は今まで構築してきた何かを磨り減らしていると思うんだ。
ただ、そう思うんだ。
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ヅカ(プロフ) - 蒼依さん» 返信が遅くなってごめんなさい！ 作者です。シャボン玉みたいな短編集、、、ウレシ〜です！♡ 過去に書いた拙い話も多く載っていますが、好きになってくれてありがとうございます！ よろしければこれからもいらっしゃってくださいね(^-^)v (6月14日 22時) (
レス) @page29 id: 841dbd16f5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼依 - 確かに不穏なものが多めですがそこがラヴだしあたしこういうシャボン玉みたいな短編集好き^ - ^ 金魚のはなしいいですね！！！💖 (2023年2月2日 0時) (レス) id: 210e1b584c (このIDを非表示/違反報告)
ヅカ(プロフ) - つぉいさん» 本当にありがとうございます嬉しいです泣泣 私はその言葉でまた書いていけます(; ;) これからも気が向いた時に見にきていただけたら幸いです！ 新しい話書こ〜〜〜〜〜〜〜︎（◜𖥦◝ ） (2022年10月16日 18時) (レス) id: 841dbd16f5 (このIDを非表示/違反報告)
つぉい - 文字の、ひとつひとつに、綺麗な光が灯っていてとてもとてもうつくしいなあと思いました。ありがとうございます。 (2022年10月9日 2時) (レス) id: 4f84d41f05 (このIDを非表示/違反報告)
ヅカ(プロフ) - りんさん» やったー！！ 応援ありがとうございます(;-;) 気まぐれな更新にはなってしまうと思いますが付き合っていただければ幸いです！ コメントありがとうございましたp(^-^)q (2021年3月7日 23時) (レス) id: c875d84994 (このIDを非表示/違反報告)
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