*†*・*†赤鼻トナカイと最低サンタ【Jun&Sho】†*・*†* (ページ15)

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サンタのじいさんに抱き着いて、わんわん喚いている子がいた。

頭から伸びたツノ。ふわり、柔らかい印象の茶髪。

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それが、俺が初めて潤を見つけた瞬間

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潤『サンタさんどうして引退しちゃうのっ！やだよ、僕を置いて行かないでよっ！

一人にしないで、もっと一緒にお仕事がしたいよっ』

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はっきり言って、めんどくさいガキだと思ったんだ。

じいさんは困ったような顔をしていた。そして、部屋の入り口に突っ立っている俺を見つけて

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『大丈夫……潤、お前はひとりにならないよ』

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諭すように言って、その言葉に従うように子供トナカイは俺のほうをチラッと見た。

目が合った時。その子は目に涙をいっぱい浮かべたままで

なのに……てくてくと、俺の前にまで歩いてきた。

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潤『トナカイのじゅんです……末永く、よろしくお願…っ……うわああああーん！』

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挨拶をしようとしたらしい。できてなかったけど。

じいさんに懐いていた潤は、じいさんとのお別れが悲しかったようで

それでもトナカイとして、立派に生きようとしていて

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………末永く、だなんて

俺。一生この仕事していく気なんて全然ないのに。

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翔『正式に契約するとしたら、どんな手続きが必要になりますか。

何か条件はありますか』

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その年の業務を終えて。くたくたになって暖炉の前で寝てるトナカイには、敢えて目もくれずに言った俺を

じいさんは優しくまっすぐに見つめてた。

まるで初めから、俺がそう言い出すのが分かっていたみたいに落ち着き払った態度だった。

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『条件は一つだけ。トナカイの良き友であることだ。

友を労わる心を持ちなさい。そうすれば自然に、優しい人になれる』

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――――なあ、じいさん。

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あれから年月は流れた。潤も、もう大きくなったよ。

一人が嫌だと泣いていた子供じゃないんだ。

あいつはもう、一人でも大丈夫なんじゃないかって

時々、思うよ。

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