・ ページ43
「濱ちゃんが言っとった事、気にしてんの?」
放課後、自転車の後ろに乗せてもらうのに校舎入口で待っていると見たことないような雰囲気を醸し出しながら歩いてきた照史。つい聞いてしまった。
「なに言うてるん、俺があんなん気にするわけないやん」
「嘘つけ、鼻かいとるくせに」
嘘をつくと鼻をかく癖。照史の治らない癖。これを知ってるのはたぶん濱ちゃんと俺だけ、というか基本友達には嘘つかない奴だからみんなそんな事知らない。
俺だって人前ではこんな砕けた口調じゃない。基本誰にだって敬語にして、陰キャを演じきっている。
「うっせー、黙れ」
「それは分かれへんな、それなりの態度とってもらわな。じゃ、お願いしまーす。」
運動できない俺でも毎日してれば自転車の荷台に乗るのは慣れっこ。少し押しながら飛び乗ればすいすいと進んでいく。
_________________
「俺は気にしとるよ。濱ちゃんのあれ」
乗せてもらう3分の1ぐらい過ぎた時に漏れた言葉。言うつもりなんかなかった、そんなの考えても仕方ないし。
「しゃーなし一緒におるから俺はそんなにやな、ちょっとは気になるけど」
しゃーなしなんて言って欲しくない。でも、こっちだって好きとか嫌いとか置いといてもこんなのと毎日一緒だと考えると気が滅入る。
「俺は好きでおるよ、お昼代浮くし」
嘘のような本当のような、ただの屁理屈みたいなもの。
「あっそ、俺はお前のこと大っ嫌いやでな。こんな屁理屈野郎。いちいちうるさいんやから。お前はオカンかて」
「なら、こんな所まで正反対やな俺らは」
俺の好きは届かないけど、こんなの磁石みたいで面白い。
正反対同士がくっつくはずだから。
end.
96人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菻(プロフ) - つきみさん» ありがとうございます。そう言っていただけてありがたいです!期待に逸れるよう書かせてもらいます! (2018年11月10日 15時) (レス) id: 35348df3b1 (このIDを非表示/違反報告)
つきみ - 初めまして。 お話読ませていただきました! 愛されている黄さんすごく可愛くて素敵でした。ハロウィンの続き、楽しみにしています。 (2018年11月9日 22時) (レス) id: 90baa9fa42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菻 | 作成日時:2018年7月10日 18時