好きとは伝えないけど - 赤 ページ26
「あっ、しげ!おはよ、」
「おはよ」
「ふふっ、誕生日おめでとう」
今日は雑誌の撮影でバスでの移動があるから先に入っていると、かばんの紐を引っ掛けないようにと頭の上に乗せてしげが歩いてきた
「ここ座るで」
後ろから2列目の通路側に座っていた俺に通路を挟んだ隣に座っていいかと聞いてくる
「ん、しげ最後?」
〈まだ流星がくる〉
俺が返事をする前に座っていて、なのに返事が遅いなと思ったら謎にメールで返してくる
「わざわざ打たんと喋ればえーやん」
〈そんなことゆーなって〉
ピロンっという音が鳴って携帯を確認するのに下を向くと頭に手を置かれて
〈うざいなぁ。笑〉
慣れないながらゆっくりと打ち返すと、朝から頑張ってセットした髪の毛をわしゃわしゃと崩される
「もぉ、やめて!やめろって!」
ちらっと見えたあひゃひゃと笑うしげがいつもより楽しそうで、俺の好きな顔で、好きだなって、
「淳太、好きやで。てことでちょーだい?」
思った時にこいつは。
プレゼントをせびるとはどんな奴やねん。
「じゃんけんで勝ったらな」
「おぉ、任せとき!」
ぐらっ
「おっとっと、」
俺達が知らぬ間に流星が来てたみたいでバスが動き出した。さっきみんなが口を揃えてはーい間延びした返事をしていたのは出発の合図だったんだ
「大丈夫か?しげ」
よろめいたしげに手を添えようと
「大丈夫大丈夫、あっ勝ったー」
ピースをしながら答えてくる
勝ったーの意味が分からずに目をぱちくりさせながらそれでも心配なのでもう一度手を伸ばす
すると、未だにピースしていた右手をハサミみたいに動かして俺の出した手を挟むので、ようやく勝ったーの意味を理解することが出来た
「ほら、勝ったからちょーだい?」
「後出しのくせに」
手渡したプレゼントはいつかのステージ衣装みたいなスモックを着たうさぎの人形と最近の若い子がやるようないっぱい字を書いたりしたアルバム
しげが驚くことをしたくてらしくない事をした
「ははっ、ありがと」
それからしげがあれやこれやと1枚1枚ページをめくっているしげがさっきみたいな俺の好きな顔でまた好きだなって思ってパシャリと撮った。
つぎの誕生日に挟むために。
end.
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菻(プロフ) - つきみさん» ありがとうございます。そう言っていただけてありがたいです!期待に逸れるよう書かせてもらいます! (2018年11月10日 15時) (レス) id: 35348df3b1 (このIDを非表示/違反報告)
つきみ - 初めまして。 お話読ませていただきました! 愛されている黄さんすごく可愛くて素敵でした。ハロウィンの続き、楽しみにしています。 (2018年11月9日 22時) (レス) id: 90baa9fa42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菻 | 作成日時:2018年7月10日 18時