素直じゃない (ページ25)

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｢あれ？Aちゃんやん｣
低い声の人…

この声は……

「…公大さん！」

「…えっ学校は？」

大学から歩いてきた私に違和感を感じたようで聞いてきた

「いやちょっと早退してて」

偶然にすれ違った

公大さんはこれから大学みたい

「え、え！？大丈夫なん！？」

「はい、一応家でゆっくりしてって事になって」

「ちょちょっと待って俺送るわ」

｢え…？いやいやそんな私大丈夫ですしそれにこれから学校じゃ、｣

公大さんがいきなりそんなこと言うから
びっくりした

「そんなん関係ない」
「心配やし。魔除けしやなあかん気がする」

「本当に大丈夫ですって…」

公大さんにこれ以上迷惑かけたくないし
学校もあるのに

「ええからほらいくで」

手を引かれて公大さんと私は大学を背にして歩き出した

「…公大さん」
しばらくして、小さい声が出た

「ん？」

…
「手を繋ぐ、と、この時期ってさらに暑いじゃないですか」

「うん？」

「でも公大さんとは繋いでても暑くないです」

「なんやそれ笑」
ちょっと照れ臭そうに笑う公大さんがいて

「じゃあ倒れられても困るし繋いでええってことで」

手を公大さんのパーカーのポケットに繋いだまま入れられて

そして少し握り返されて

さっきまでひんやりしていたのに
あたたかく感じたのは

ポケットの中だから？

やっぱり夏の暑さには勝てないから？

…………………離れたくない