1話 ページ1
夏野Aはカミサマを信じていなかった
人間の心は弱い。そして弱さゆえの拠り所を求める。寄りかかれる場所、自らの存在を証してくれるモノを求める。その最たるものが神であるとAは幼いながらに理解していた。
そして幸か不幸か、カミサマを信じるひとを 愚かだと切り捨てられる心の強さを持っていた
Aは聡明な子供だ。見聞はあらゆる方向に深く、周囲の子らを突き放せるほどの知識を、貪欲に吸収していく。
齢九にしてあらゆることを知っていたAは、自分が早熟であることも、知っていた。
──然しそれがときに弱さとなりうることは、知らなかった
「……、お父さんと、おかあさんの」
心做しか掠れた声が己の耳朶を打つ
「なかが、よくなりますように」
ぱんッ、と乾いた音をたてて両掌をぴちりとあわせる。初夏の暑さに汗が滲んで、ちゅく、といやな音が鳴った
ぎうとかたく瞑った目の隙間から、無理矢理に陽が押し入ろうとする。
おもえばその日が、全ての元凶だったのだ。
──あの狂った夏の、はじまりのひ
・
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜華(プロフ) - こんにちは!初コメント失礼致します!神様モチーフの素敵な作品、これからどんなことが待っているのかワクワクが止まりません!無理のないよう、更新頑張ってください!青,い,鳥の方、フォロリク失礼致します。 (2022年7月3日 15時) (レス) @page8 id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Kaniska | 作成日時:2022年7月1日 17時