ねえ、ジュノン。

ジュノン ページ28

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びっくりした。






着物を着たお嬢の身体を見た時に。



お嬢を持ち上げた時の軽さに。





そっと扱わないと全部の骨が折れるんじゃないかってくらいに身体が細かった。









「ジュノン、私歩ける」




「はい」




「はいじゃなくて…」











『ねえ、ジュノン。…ごめん、もうお腹いっぱい』







落ち着いた生活ができ始めていると思っていたが、考えてみれば食事も頻繁に残しているような気がする。




少食なのかと思って、食事担当の奴にお嬢の分を少なくしてくれと頼んだがそれでもお嬢が全てを食べ切れることは中々なかった。








「…てば、ジュノンてば」




「あ、…すみません」




「さっきから大丈夫？…私はほんとに大丈夫だしセリナさんもめっちゃいい人だったよ。ジュノンの方が分かってるはずでしょ」









気付けば俺はお嬢を車に乗せていて、俺もお嬢の隣に座って、車は夜道を走っていた。








「でもごめん。私こそジュノンの声に気づいてなかったし」




「お嬢が無事なら、どうでもいいです」




「…どうでも良くなさそうだから心配してあげてるのに〜」








さっきからほんとジュノンらしくない、と冗談まじりに明るく言うお嬢。








俺が俺らしくあれないくらい、貴方は大切な存在なんです




祖父の名前さんとの約束を、守らなければならないんです











「…お嬢が死んだら、俺」





「ん？」




「あいや、なんでもないです」




「はは、なんか今日はジュノンにちゃんと寝て欲しいな〜」













「……」









薄暗くライトが付いた車内で見るお嬢の横顔に見蕩れたのに、自分自身でも気づかなかった。





気づかなかった事に、したかった。

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