ねえ、ジュノン。

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そして夕方。



私は護衛に囲まれて屋敷を出る。



あいにく周りに敵はいないみたい。





車に乗り込み、私の隣には当たり前のようにジュノンが座った。








「…緊張する、痛い？」




「まあ…でもそれを乗り越えてこそですよ」




「分かってるけど…」




「手、握っててあげましょうか？」









ジュノンがニヤリとこちらに顔を向ける。




朝の反応をからかわれてる気がする。





なんなのこいつ……





少し高鳴った心臓をすぐに収める。









「いいえ。結構です」




「ふ、そうですか」








たまに見せるジュノンのこういう表情に不本意にときめいてしまう事がある。





決して好きではない。




年上だからカッコよく見えるだけ。




ジュノンからしたら私は可哀想なおじいちゃんの孫娘でしか無いのだから。








「お嬢？」




「え、あ？何？」




「いや、聞こえてませんでしたよね、今」




「ごめん、何話してた？」




「…はは、やっぱり手握っててあげますよ。緊張してるみたいなので」




「な……あのねえ、もう…」








誰のせいで、と思いながら、未だにニヤニヤして私を見てくるジュノンの視線を完全に無視した。

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