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斎藤「あんたが
髪を降ろしている姿も、
久しぶりに見るな」

A「ずっと結んでいましたからね」




手櫛で髪を整えていると、
何処から取り出したのか櫛で解いてくれた。

さすが髪が長かっただけある。

解かれても痛さを感じない。


髪が解かれ終わると、
あれだけ濡れていた髪が綺麗に乾いていた。




A「すみません、ありがとうございます」

斎藤「俺が気になっただけだ。
余計なお世話だったか?」

A「いいえ。そんな事ありません」




京にいた頃なら、
こんな行為も会話もなかったと思う。

あの日、
斎藤さんから想いを告げられた日から
何かが変わるという事もなく、
以前と何ら変わりない関係だった。

変わらない態度を取ってくれるのは、
私からしても有難い。

急に態度が変わっちゃったら、
どうしていいか分からないもん。


だけどそれは、
どうやらここでは違うらしい。




A「あの、斎藤さん…?」

斎藤「さすがの俺でも、人前で触れようとは思わん。
だが今は風間たちもいないからな」




微かに匂うお風呂上りの匂いと、
この夏でも暑く感じない温もりに背中から包まれる。


"さすがの"って何ですか?
ここは縁側ですよ?


なんて言いたかったけれど、腰に回された腕と、
肩に乗せられた頭を退かす気にはならない。

時折吹く風に斎藤さんの髪が靡き、
それが耳と頬を掠めて擽ったい。

その感覚に体は身じろいだ。

その動きが逃げ出そうと動いていると思われていたのか、
腰に回った腕の力が強くなる。




A「斎藤さんの髪が擽ったいだけです」

斎藤「……そうか」




やっぱり抜け出すって思ってたんだな。

理由を伝えれば、
斎藤さんの腕はほんの少しだけ緩んだ。

何だかそれが可愛く思えてしまって、
斎藤さんの手に自分の手を重ねた。

昨日までの戦が嘘のように、
今日の流れる時間はとても穏やか。

そして幸せ過ぎるほど、幸せだ…。


この幸せは、
いつまで続いてくれるんだろうか…。


上まで見上げる事の出来ない空は
少しだけ狭く感じてしまうけれど、
その空を見上げずにはいられなかった。




斎藤「何を考えている」

A「いきなりですね」

斎藤「あんたが空を見上げる時は、
何か思案している時だ」

A「………そうなんですか?」

斎藤「無意識か」




確かによく空は見上げるけど…。
まさかそんな癖があったなんて…。

自分では無自覚だった。

****→←135:縁側



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 何度も読み返して読んでます。斎藤さんとの恋仲で幸せです。涙が流れてます。 (2020年5月26日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 朔さん» コメント&一気読みありがとうございます!風間の言葉遣いがなかなかに難しく、上手く表現出来ているのか不安でしたが、可愛いと言ってもらえてうれしいです♪なかなかに私の妄想が激しいものになってしまいますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2019年10月4日 9時) (レス) id: 92dfc97012 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメン失礼します!今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました!!悲劇が無くて風間がかわいくて()大好きです!!!最近は薄桜鬼の小説を書いてる方も少ないので...(>_<)応援しています(^^ゞがんばってください!!長文失礼いたしましたm(__)m (2019年10月4日 2時) (レス) id: af48bb8f49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年10月2日 16時

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