【薄桜鬼】純血を巡る者６ (ページ48)

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A「新選組の最期を見届けるのは、
私だけではありませんから。
姉様がいます。
姉様はきっと、土方さんに付いて行ってくれます」

土方「千鶴が…？」

千鶴「……私は、土方さんに付いて行きます」

土方「Aの代わりに、か？」

千鶴「それもありますが、
土方さんに付いて行くのは私の意思です。
Aがいなかったとしても、
私は土方さんと行きますよ」

A「ね？姉様は土方さんと行くと、
分かっていましたから」

こんな状況なのに、口角が上がってしまう。

姉様の変わらない意思に
安心してしまったんだ。

そして土方さんは、
斎藤さんへと振り返り意思を聞いた。

きっと斎藤さんは土方さんと一緒に行くだろう。

あれだけ土方さんの事を慕う人なのだから…。

まだ衝動もあるのにな…。
でも、土方さんと行けば姉様がいる。

姉様なら、斎藤さんの衝動も請け負ってくれるだろう。

そう覚悟を決めていたのだけれど、
斎藤さんの口から発せられた言葉は意外なものだった。

斎藤「俺hあここに残り、会津藩への恩を返します」

え…？

今、残るって言った…？

少し俯いていた顔を上げ、斎藤さんを見た。

そこにいる斎藤さんは至って真剣で、
その言葉に覚悟が見えた。

決意を持った事に、
口を挟む事は許されない。

土方さんと斎藤さんは、
両者が納得いくまで話し合っているようだ。

だけど、その話は耳に入ってこない。

こんな事、何度目だろうか。

もしここに残ってしまったら、
もう二度と会えないかもしれない。

もしここに残ってしまったら、
後悔するかもしれない。

なのに、残ってしまっていいんですか？
土方さんに付いて行かなくて、いいんですか？

何度も何度も、喉に上がってくる言葉。

でも言えない自分がもどかしく、
俯いた顔を上げられなくなってしまった。

斎藤「局長や副長の命令を、
これから先も従っていくつもりでした。
ですが…。申し訳ありません。
此度の命にだけは、従う事は出来ません」

土方「謝る事じゃねえよ。
俺たちの道は、ここで別れちまうって事だな…」

斎藤さんは斎藤さんの意思を告げ、
そしてここに残る事を選んだ。

なら、新選組の最期の一つも、
ここにあるのではないだろうか。

もう二度と会えないかもしれないけど…。
もしかしたら後悔するかもしれないけど…。

それなら、なるべく後悔させないように。

斎藤さんにとっての新選組が
終わるまで守り切って見届けよう。