【薄桜鬼】純血を巡る者６ (ページ33)

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原田さんは
私が握りしめていた空き瓶を見て、
言葉を詰まらせる。

私が何も言えないでいると、
原田さんは悟ったようにため息を吐いた。

原田「そうか…。
土方さんも、飲んだんだな…」

千鶴「はい…。どうしても、血が止まらなくて…」

原田「土方さんが選んだ事なんだろ？
だったら、千鶴がそんな顔する必要ねえよ」

原田さんの言葉はとても暖かくて優しくて…。

それは以前と変わらない原田さんだった。

原田「土方さんと総司が中にいるなら、
俺たちが行く必要はなさそうだな」

不知「俺が行くわけにはいかねえしな」

千鶴「どうしてですか？」

不知「あ？止められてんだよ」

千鶴「風間さんにですか？」

不知「……まあ、そんな所だな」

はっきりしない物言いに首を傾げた。

戦いには行かないと言っているのに、
不知火さんはここから離れようともしない。

剣戟と銃声だけが鳴り響く宇都宮城を、
ただ見つめているだけだった。

どれだけの時間が経ったのだろうか…。

きっとそんなに経っていないはずなのに、
私の中では物凄く長い時間に感じられた。

やっと宇都宮城が静かになって少しした頃。
城門から土方さんと沖田さんの姿が目に入る。

原田「ブハッ！
土方さんも総司も、ボロボロじゃねえか！」

沖田「左之さん？！」

土方「お前、こんな所で何してやがんだ」

原田「ちょっとな。
今はこいつと行動してんだ」

沖田「へぇ、珍しい組み合わせだね」

不知「さて、終わったみてえだしな。
人間共、行くぞ」

不知火さんはそう言うと、スタスタと歩き出す。

その不知火さんの隣を、
原田さんは何の疑いもなしに歩いていた。

本当に珍しい組み合わせだ…。

まさか原田さんが、
鬼である不知火さんと仲良く歩いているなんて…。

原田「何してんだよ。行くぞ」

―――――回想終了―――――