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斎藤「あんたは、
局長の事があってから、
一度も泣かぬのだな」

A「……原田さんたちが、
新選組を出て行く時に言われたじゃないですか。
私には、笑っていて欲しいって。
姉様にも言われた事があるんです。
私が笑っているだけで、それが救いになるんだって。
もちろん笑う事が辛い時もありますが、
それでも笑っていればきっと、
いつか良い事があるんじゃないかって思うんです」




戦いが続く毎日だからこそ、
笑っていた方がいいと思った。

戦っている時は無理だけど、
戦っていない時ぐらいは、
私は笑っていたいんだ…。


斎藤さんと二人で歩いていると、
小さく開けた場所を見つけ、そこへ駆け寄った。

そこから見える景色は草木ばかりで、
何か見えるわけでもなかったけど、そこに立って思う。




A「私たちの村を見下ろした事が、
つい昨日のようです…」

斎藤「……あんたは、
全てが終わったらどうするんだ」

A「そうですね…。
今はちー君たちに互助を頼んでいますから、
その互助を全て成し遂げようと思っています。
それからはきっと、
頭領としての道を歩く事になるでしょう。
東国の鬼たちにとって、
私は道しるべのようなものですから」




頭領としての道。

それはほぼ毎日文机に向かい、
訪問客の対応をして、
出張もしなければいけないだろう。

だけど、襲名の時に宣言してしまった。

私たち雪村家は、
人間との共存を望んでいる。
試みるんだ、と。

その宣言を現実のものとするために、
私は忙しくなるだろう。

こんなゆったりと散歩をする暇もないかもしれない。




A「こんな戦いの真っ最中に
未来の話をするなんて、鬼が笑いますね」

斎藤「現に、あんたは笑っているではないか」

A「……本当ですね」




クスクスと笑えば、
斎藤さんもフッと小さく笑った。


こんな話でも楽しくて、幸せだ。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵だよ。涙が流れます (2020年5月24日 23時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月26日 17時

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