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102:自覚する気持ち<雪村千鶴> ページ49

気付いたら、そこに
Aがいなかったから
外に出ただけだった。

本当に最初はそれだけの理由。

きっと木の上にでもいるんだろうと、上ばかりを探した。




千鶴「いたいた。A!」




Aは驚いたようにこちらへ視線を向けてくる。

こんな夜更けに声を掛けたら、そりゃ驚くか。


Aと近藤さんの話をして、
Aが近藤さんの事を父様のように思っていたと聞いて、
何となくだけど、
そう思ってたことは分かってた。

きっとAなら、
近藤さんに父様の影を重ねてるって。

そんな話をしている時だった。

ほんの少しだけ草が揺れる音がしてそちらを見れば、
私たちがいない事に気付いて探しにきたのか、
斎藤さんがそこにいた。




A「ねえ、姉様。もし、もしだよ?
もし新選組の人たちがバラバラになっちゃったら、
姉様はどうする?」




口に人差し指を当てて、静かにするよう合図する。

それに斎藤さんが静かに頷いてくれた。




千鶴「…………どうするっていうのは、
どう思うかって事?
それとも、誰に付いて行くかって事?」

A「……両方かな」




Aは空を見上げてるし、
斎藤さんの存在には気付いていない。

斎藤さんは木に凭れ掛かり、
目を閉じて私たち姉妹の話を聞いている。




千鶴「Aは斎藤さんでしょ?」




斎藤さんの名前を出せば、閉じていた目を開いて
不思議そうに私の事を見た。

そんなに不思議な事かな?

今までのAを見ていれば、
すぐに分かりそうな事だけど…。




A「……うん。
きっと私は、斎藤さんに付いて行く…、と思う」




Aからの返答に、
斎藤さんは驚いたのか口を開こうとしたから、
黙るように合図を必死で送った。

斎藤さんが抜けた時の話や変若水の話をした時は、
物凄く申し訳なさそうに眉を顰めていて、
やっぱり斎藤さんもAが好きなんだって確信した。




千鶴「フフッ、
Aは斎藤さんが好きなんだよね?」




今日の斎藤さんの表情は豊かだ。

そんなわけない。って、言いたいですか?

私が言うのも何だけど、
この二人は疎すぎる。




千鶴「今朝だって、御下がりの結い紐を貰っただけで
馬鹿みたいに喜んでたくせに」

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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