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101:霞んだ月 ページ44

朧月夜。

綺麗だけど、
今はもっとはっきりとした月を見たかった。


なんて思いながら、
野営地から少し離れた木の上に座っている。


もちろん迷わないよ?
ちゃんと私の位置から野営地は見えているから。


今は甲府に向かう途中。

もちろんその日に着くなんてあり得るわけもなく、
私たちは野営をしてるってわけ。

ここに来るまでに色々とあった。

色々の元凶は近藤さんなわけだけど…。




A「屯所での出来事が、まるで夢だったな…」




空に浮かぶ朧月は、
近藤さんを表しているような気がしてならない。

我ながら上手い表現をしたと思う。
何処がだよ。っていう突っ込みはなしね。




A「永倉さん、大丈夫かな…?」




近藤さんの行動への不満。
近藤さんの態度への不信感。

それが丸出しなんだ。

一度入ってしまった亀裂は、
そんな簡単には戻らない。




A「どうしてあげればいいんだろう…」

千鶴「いたいた。A!」




急に下から声を掛けられ、
私は月から下へと目線を滑らす。

昼間、あんな事があったのに、
姉様はとても元気だな。

私も姉様みたいに出来ればいいのに。

昼間、甲府に向かう私たちの行軍の中に、
近藤さんの姿はなかった。

自分の故郷で新しい隊士たちへ、
接待のような事をしていたらしい。

その近藤さんに対して、
不満が爆発しそうになっていたのが永倉さんだった。




A「もしかして、探させちゃった?」

千鶴「ううん。
Aなら、木の上だろうなって思っただけ。
ここには縁側がないもんね」

A「木の上が一番、空が見えるから」




もう一度、空を見上げる。

気付けば朧月は雲に隠れ始めていて、
ほんの少しだけ欠けていた。


隠れないで欲しいな。
もっと姿を見せてよ…。




千鶴「もしかして、昼間の事を気にしてる?」

A「姉様は気にしてないの?」

千鶴「気にしてないわけじゃないよ。
ただ、私たちが気にした所で何が出来るわけでもないし、
私たちはいつも通りにしてるのが
一番いいかなって思ってるだけ」

A「……姉様は強いね。
私は気にしすぎて駄目だ…」

千鶴「おい、頭領!もっとしっかりしろ!」

A「私は、新選組の頭領じゃないよ」




姉様、野次り方がすごいよ。

まさか姉様の口からそんな言葉が出るなんて思ってなくて、
困ったように笑ってしまった。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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