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斎藤「はぁ…っ、う…っ」

A「大丈夫ですか?!」




腰から刀を抜いて腕を斬りつけようとしたのだが、
それは斎藤さんの手によって止められてしまう。




斎藤「俺が、やる…っ、
啜る姿など、見られたくはない…っ」

A「……分かりました」




苦しさで震える手に刀を握らせて、私は大人しくする。

斎藤さんは申し訳なさそうに、
私の耳たぶを着ず付けた。


きっと、見られたくないから耳なんだろうな…。


チクッとした痛みが走り、血が滴る。
それを掬うように舐められた時だった。




A「っ…!」




暖かく、ぬるっとした舌。

啜るために耳たぶを挟んだ唇。


そして、耳に時折かかる息。




A「ん…っ」




何、これ…っ
ちょっと、待って…っ


今まで感じた事のない感情。
血を与えているだけなのに、顔が熱い。

それでも動かないように目をきつく瞑り、
斎藤さんの着物をキュッと掴んだ。


しばらくすると傷は塞がり、
滴っていた血も止まる。

耳元にかかっていた荒い息は落ち着きを取り戻し、
肩と頭に置かれていた手の力も抜けていた。

だけど斎藤さんの口は離れない。


足りないのかな…?

それとも、
最後まで綺麗にしようとしてるのかな…?




A「斎藤、さん…?」

斎藤「……す、すまない」

A「い、いえ…。足りませんか?」

斎藤「いや…、大丈夫だ」




大丈夫だと言うけれど、
私の肩に顔を埋めるようにして項垂れている。

本当に、大丈夫?




A「お休みになられますか?」

斎藤「……ああ、そうする」




斎藤さんは立ち上がり、
そのまま船室の中へと入って行った。

姿が見えなくなると、その場にペタリと座り込む。


ま、まさか、
あんな感情になるなんて…っ!

恥ずかしすぎる…!


唇を寄せられていた耳たぶを触り、
また、顔を熱くするのであった。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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