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90:復帰の朝 ページ16

平助君が変若水を飲んでから、
もうすぐ半月が経とうとしていた。

私自身の傷もすっかり良くなり視界も良好。

包帯が取れ、最初に見た顔は姉様だった。
あの時は子供のように喜んでしまったな…。

そして平助君は謹慎を言い渡され、
その謹慎が今日で解ける。

今日から平助君が、完全に復帰するのだ。




A「今日から復帰ですね。
おめでとうございます」

藤堂「おう!
受け入れて貰えるまでに時間は掛かるだろうけど、
それでも俺、絶対にめげねえよ!」

A「はい!頑張ってください!」




今日は平助君と一緒に朝餉の準備。

あれだけの傷を負ったし、
人のしての人生は終わってしまったけれど…。

平助君が元気に生きてくれている事が嬉しかった。




藤堂「あのさ、総司の時もそうだったけど、
何でそんなに人としての生き方に拘るんだ?」

A「と、いうと?」

藤堂「そんなに鬼にさせるって嫌な事か?」

A「うーん…。鬼になる事は嫌ではないんです。
人として生まれ、人として死ぬ。
それが本来のあり方ですよね?
もちろん鬼として生まれ、鬼として死ぬ。
これが私たち鬼のあり方でもあるんですが。
人を鬼に変えてしまったら、
その人の"人"としての人生は
その時点で終わってしまうんです。
出来るなら、人としての人生を全うさせてあげたい。
人として生きて行けるなら、そうしてあげたい
………難しいですよね」




上手く説明できない心情を悟られたくなくて、
苦笑いを向ける。

それに気づいたのか私から目線を外して、
手元を見ながら朝餉の準備を再開させた。




藤堂「Aはさ、考えすぎなんじゃね?
俺はAがいなかったら今頃死んでたか、
羅刹になってたかのどっちかだろ?
でも俺は生きる道を選んだんだ。
人か鬼かなんて関係ねえよ」




生きる為なら、
人だろうが鬼だろうが関係ない、か…。

この生きるか死ぬかの時代。

私はどれだけ平和な種族として
生きてきたんだろう…。

鬼は争いを好まないから。
人と離れて暮らして来たから。

この数年、人と暮らし、
人を見て来たはずなのに、
私は、何も分かってなかったのかな…?

生きて果たしたい事が果たせるなら、
人だろうが鬼だろうが関係ない。

そういう事なんだろうな…。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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