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85:壊れた人形 ページ1

とても幸せな夢を見た。

そんな夢を見た後の目覚めは
何も変わらなくて、相変わらずの夜。

まだ熱も下がっていないし、体も怠い。

周りを見回してみても、
やっぱり斎藤さんの姿は無くて、
あれは夢だったんだと確信した。




A「そうだよね…。
ここにいるはずないもん…」




小さく呟いてみたものの、
私の言葉は空気に滲んで消えてしまった。


あぁ、怠い…。
関節も痛いし、動くのが億劫だな…。


静かなはずの屯所。

でも、遠くの方で
たくさんの人が走る足音が聞こえる。

幻聴ではないだろうし、
こんな夜更けに何をしてるんだろう…。


ボーッとする頭で考えてみても分からず、
私には関係ないかなと勝手に決め込んで、
また眠りに入ろうかとしていた時だった。


キィ…。

ドタドタドタッ


門が開いた音がしたかと思うと、
騒がしく走る音が聞こえてくる。


まさか、ちー君たち…?

いや、天霧君が話を付けてくれるって言ってたんだ。
まだ返事は来てないけど、
ちー君たちなら律儀に門を開けて入ってくるはずがない。


怠い体を必死に起こし、
這いずって布団から出て障子を開けた。




A「…………あれは…っ!」




いくら熱で働かない頭でも分かる。

あれは人ではない。鬼だ!


しかも、以前戦った
壊れたからくり人形のような鬼。


何故ここに…?
あの類の鬼という事は、狙いは私だ。


怠い体に喝を入れて必死に起こせば、
フラフラとはするけど動く事は出来る。

しかし着替える気力までは湧かないし、
早く応戦しないと
ここの人たちに迷惑を掛けちゃう。


枕元に置いてあった刀を持ち、
フラつく足で部屋を出て走った。




A「お前たち、何をしている!」

鬼1「自分から出てくるとは、馬鹿なのか?」

A「っ…?!」




確かに気配はあの壊れたからくり人形のような鬼なのに、
以前と違って普通に話をしている。


どういう事?!
まがい物を飲んだ鬼は、
壊れてしまうわけではないの?!


どれだけ考えても、
熱がある頭では思考も廻らない。




沖田「Aちゃん!何してるの!
熱があるんだから下がって!」

A「そういうわけには行かないようです。
狙いは私ですから」




こんな状態で戦えるのかは不安でしかない。
だけど、今はやるしかないんだ。


刀を引き抜き、
佩刀していない為、鞘は放り投げた。

戦闘を長引かせるわけにはいかない。
いつ気力も体力も尽きてしまうか分からないから。

****→



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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