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A「神社…?

原田「廃神社なんだけどな」




また手を引かれて、古い鳥居を潜って階段を上った。

所々崩れている階段。
崩れている部分は避けて、どんどん上って行く。


結構高い場所に境内があるんだな。


長い階段を上り切り、
少し崩れかけた境内が目の前に姿を現した。

でも原田さんの目的地は境内ではないらしく、
笑顔のまま、どんどん奥へと進んで行く。

あれだけ廃れていた場所だったのに、
目の前に広がる光景に目を見開いた。




A「すごい!」

原田「いい眺めだろ?
ここは昔から町が一望できる場所なんだ」

A「私たちが身を寄せている建物はどれでしょう?
あれでしょうか?それとも、あちらでしょうか?」




京は碁盤の目になっている街並みだったけど、
この江戸はざっくばらんな配置。

それでも町には活気が溢れているのが、
この遠目からでも分かる程に人が多い。

初めて見る江戸の街並みは、
ともて新鮮に映って楽しかった。




原田「ここにいるとよ、
自分ってすげぇちっぽけだなって思うんだよな」




町を見下ろす原田さんの瞳は、
何処か悲し気に見えた。

今は、そっとしておくのが一番なんだろうな。


私は無言のまま、江戸の町を見下ろす。

こんなに町は活気で溢れているのに。

新選組の皆さんの心は、
霧が掛かったように白く霞んでしまっている。

しばらくの間、静かに見下ろしていたのだけど、
急に眩しい光が目に飛び込んできた。




A「夕陽…っ!」

原田「すごいだろ?
ここは夕陽が真正面に見える場所でもあるんだ」

A「綺麗…」




大きな夕陽が少しずつ地平線へと消えようとしている。


夕陽って、こんなに大きいんだ…。

本当に私たちは、
ちっぽけな存在なのかもしれない。


そう思えて仕方なかった。
だけどそれと同時に、
私が抱えている闇も、小さなものなのかもしれない。


今まで何度も心の中で呟いた言葉を、
もう一度繰り返す。


【突き進むしかないんだ。
どんな結末を迎えようとも】




原田「そろそろ帰るか。
遅くなると土方さんが煩ぇからな」

A「そうですね。帰りましょう」




そうしてまた、
神社の石段を下りて宿へ向かって歩き始めた。

98:不信感→←97:江戸の景色



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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