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A「近藤さん、私が分かりますか?」

近藤「ああ…」

A「痛かったですよね。でも、もう大丈夫ですよ。
もう少し私が早く帰って来ていれば、
焼く事もなかったのに…。すみません」

近藤「君が、謝る事ではないさ…」

A「気持ち悪いと思いますし、
少し治りも遅いかもしれません。
でも綺麗に治りますから、我慢してくださいね」




佩刀していた刀を引き抜き、腕に宛がって引いた。

鈍い痛みが腕から体に広がる。
多めの血が流れるようにと、深く斬ったからだろう。


すぐに刀を放して近藤さんの顎を持って押すと、
自然と口を開いてくれる。

そこに傷をつけた腕を押し付け、
血を近藤さんの口の中に入れた。




A「すみません。気持ち悪いですよね…。
それでも我慢して飲んでください」

近藤「う…っ」

A「もう少しです。血が、止まるまで…」




近藤さんの右肩にあった焼け跡は、
みるみるうちに無くなって行く。

完全に皮膚が塞がった所で、私の傷も塞がった。




A「痛みはどうですか?」

近藤「まだ中は痛い気がするが、
それでも先ほどよりは楽だ。
すまないな…。
最近は君に痛い思いばかりさせてしまっている…」

A「気にしないでください。
私で良ければ、いつでも言ってくださいね」

近藤「君には、いつか礼をせねばなるまいな…」

A「お礼なんていいですよ」

近藤「そういう訳にはいかんさ」

A「それなら、貸しを作った事にしましょう。
近藤さんに貸しを作るなんて、すごく贅沢ですね」




フフッと笑っていうと、
近藤さんも弱々しいが笑ってくれる。

痛みが和らいだからなのか、
近藤さんはそのまま眠りについてしまった。


良かった…。

あとは安静にしてもらって、
肺の傷が治るのを待つしかない。




土方「ありがとな。助かったぜ」

A「いいえ、大丈夫ですよ。
それでも肺の方はまだ完全に治っていません。
安静にさせてください」

土方「ああ、そうさせるさ」




血が付いている腕を拭いながら、
その場を後にした。

まさか近藤さんが撃たれるなんて…。

そんなにもこの京は、
物騒になってしまったんだろうか…?


茜色の空は何処へ行ったのやら。
眼前に広がるは闇。

私の定位置である自室前の縁側は、
いつもと変わらない風が吹いている。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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