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66:襲名と来賓 ページ9

姉様と兄様の数歩後ろに付き、
私たち三人はゆっくりと歩き出す。

歩く度に髪に刺さっている簪が
シャラシャラと綺麗な音が鳴り、
私たちの存在を知らしめている。


私、ちゃんと出来るのかな?
失敗しちゃいそうで怖いよ…。


少し先にある部屋の襖は全て取り払われていて、
その部屋に近づくにつれて
当主様たちの座っている姿見えてくる。

心臓の音が煩い。
耳から脳に響き、
覚えていたはずの口上すら忘れてしまいそうだ。


襖が取り払われた部屋の前で
兄様と姉様が深々と頭を下げると、
中で座っていた当主様たちも深々と頭を下げる。

二人が部屋に入った所で私も頭を深く下げ、
当主様たちと向い合せになるように一番前に座った時だった。




??「うぁ…っ、くっ」




何処からか呻き声が聞こえてくる。


ん…?
この呻き声って…。


呻き声が聞こえて来た方へ視線を向けると、
そこには新選組の幹部隊士さんたちが
全員揃っていた。


な、何でここにいるの?!




原田「ちっ!
Aがいねえ時に限って…っ!!」

土方「おい総司、大丈夫か?!」

沖田「大丈夫、ですよ…っ」




最近少なくなってきていたのに、
こんな時に限って発作というのは起きてしまう。


このまま放っておくわけにはいかないでしょ!


座ったばかりだったけど、
当主様たちに深く頭を下げてから立ち上がる。

姉様の肩を叩いて気付かせ、
入ってきたばかりの部屋を出て
向かいの部屋へと入った。

狭い視界。
見える背中は原田さん、かな?

原田さんの肩をポンポンと叩くと気づいてくれた。




原田「うぉっ!だ、誰だ?!」

土方「ちっ!こっちは立て込んでんだよ!」




知ってますよ。
見たら分かります。


それにしても喋れないし、
どう意思表示していいか分からない。

姉様に目線を向ければ小さく頷いてくれる。




千鶴「そこを退いてください」

藤堂「はぁ?!お前ら何なんだよ!」

千鶴「いいから!早く退いてください!」




姉様の気迫に押されたのか、
原田さんと平助君は少しだけ隙間を空けてくれた。

姉様に手を差し出すと、
懐から小刀を取り出して渡してくれる。

それを受け取って沖田さんの前に座り、
小刀を渡して、今度は手のひらを差し出した。




沖田「……?も、しかして…っ、Aちゃん…?」

藤堂「Aなのか?!」




今は喋れないから聞かないでよ…。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が…溢れて止まりません。 (2020年5月24日 15時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月12日 14時

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