【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ48)

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８４：うつつの夢ページ48

姉様の風邪から数日後。

朝からボーッとするなぁ…
とは思いながらも庭掃除をしていた。

何でこんなにボーッとするのかな…？
心なしか、体も怠いような…。

うーん…、困ったなぁ…。

原田「A？顔が赤いけど、大丈夫か？」

A「え？大丈夫ですよ。
すぐに朝餉の準備をしますね」

原田「ちょっと待て」

大きな原田さんの手が額に当てられた。

原田さんの手、冷たくて気持ちいいな…。

原田「熱があんじゃねえか！
寝てなきゃ駄目だろう！」

熱？
私、熱があるの…？

そんな事を考えている間に、
原田さんは私を引きずるようにして部屋へ押し込んだ。

原田「土方さんを呼んでくるから、
お前は布団で寝てろ」

A「でも…」

原田「いいから寝てろよ」

布団を敷く気力もなく、
私は閉められた障子を眺めていた。

姉様の風邪を貰ったのかな？
それとも、やっぱり季節の変わり目だからかな…？

ああ…、迷惑を掛けちゃう。
どうしよう…。

数人の足音が聞こえたかと思うと、
眺めていた障子が開かれる。

そこには原田さんと土方さん、
それに姉様の姿もあった。

千鶴「ごめんね。
私の風邪、移っちゃったのかな？」

A「そんな事ないよ。
移っちゃったんだとしたら、
他の皆さんに移らなくて良かった」

土方「お前に移っても困るだろうが。
ったく。お前は今日休め」

A「……すみません」

姉様だけを残し、
二人は部屋を出て行った。

それでも私が動く気配がないからか、
姉様は布団を敷いてくれ、着替えも手伝ってくれた。

千鶴「今度は私の番だね。
ちゃんとゆっくり休んでね」

敷いてくれた布団に寝転ぶと、
姉様は笑顔を向けて部屋を出て行った。

熱を出したのなんて子供の頃以来だな…。
熱が出るって、こんなに辛かったかな…？

意識を手放しては戻してを繰り返し、
ふと視線の端に何かが置かれている事に気付いた。

そちらに目を向ければ姉様の時と同様に、
お供え物のようにお菓子が置かれている。

皆さん来てくださったんだ…。

でも今は食欲がないので、
元気になったら頂きますね。

次に起きたのは、
寒気と吐き気を覚えての目覚めだった。

ちょっと、気持ち悪い…。

その時、額にひんやりとした物が乗る。

熱でボーッとする頭で、誰かなと考えながら
うっすらと目を開ける。

部屋は暗く、月明りでぼんやりと明るいだけ。

もう夜だったんだ…。
それにしても、誰が置いてくれたんだろう。