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顔は赤く、目も虚ろだった。


もしかして、風邪?


姉様の額に手を置けば、物凄く熱い。




A「熱があるじゃない!」

千鶴「え?熱…?私が、熱…?」

A「季節の変わり目だからかな?
風邪引いちゃったんだね」




起き上がろうとした姉様を止めた。

こんなに高い熱が出てるのに、
起きるなんて無茶だ!




A「今日は私がやるから、
姉様はゆっくり休んでて」

千鶴「でも、A一人じゃ大変だよ…。
大丈夫、ちゃんと出来るから」

A「駄目!普通の風邪よりも熱が高いし、
今日は休んだ方がいいよ!」

千鶴「でも…」

A「もう…。ちょっと待ってて。
絶対に!動いちゃ駄目だからね」




そう釘を刺して、
部屋を出て土方さんの部屋へと向かう。

私が言って駄目なら文句が言えない人に言って貰おう。
そう考えたんだ。




土方「ったく。熱がある時は休め。
そんな体じゃ何も出来ねえだろうが」

千鶴「すみません…」

A「私が姉様の分までやるから、
心配せずにゆっくり休んで」

土方「一人じゃ無理だろうが。
誰か手の空いてる奴を捕まえて手伝わせろ」




土方さんの指示通り、
朝餉は一番最初に出会った原田さんに頼み、
屯所内の掃除と洗濯は手が空いている人もいなかったし、
量も少なかったから一人でやった。

その途中で姉様の部屋を訪れて、
頭に乗せた手ぬぐいを変えたり、
昼餉の時は姉様のおかゆを作って持って行ったりと、
看病も出来る限りやっている。

そして、やっと家事が落ち着いた頃。
私は土方さんのお部屋でお仕事を手伝っていた。




土方「悪いな。千鶴が熱で休んでんのに、
俺の仕事までやらせちまって」

A「いいえ。姉様が大変な時ですし、
私が出来る事なら何でもやりますよ。
それに、土方さんのお仕事は朝に言われた事ですから。
請け負った事は最後までやり遂げます」

土方「あんまり気張りすぎると、
今度はお前が倒れちまうぞ」

A「そうですね。気を付けます」




フフッと笑ってから、
土方さんに渡された仕事に集中する。

時たま仕事の事で話をする以外、
私たちの間には沈黙が流れた。


ある程度の目処が立ち、私は筆を置いた。




A「お茶、淹れますね」

土方「すまねえ」

A「姉様の所も見て来ます」




席を立ち、部屋を出て炊事場へ向かった。

****→←83:姉様の風邪



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が…溢れて止まりません。 (2020年5月24日 15時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月12日 14時

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