【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ44)

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８３：姉様の風邪ページ44

慶応３年１０月末。

ちー君たちが襲撃した事が引き金となり、
西本願寺の人たちの堪忍袋の緒が切れた。

簡単に言えば、
全部用意するから、ここから出て行ってください。
と申し出てきたらしい。

「体の良い厄介払いだな」

って原田さんは言っていたけれど、
厄介払いだなんて失礼だよね…。

そして、屯所を移転して早４か月。

夜が明け、障子をすり抜けて
明るい陽の光が入ってくる。

今日も天気がいいなぁ。

布団から起き上がり、着替えて障子を開ける。

秋の匂いがする外は、もう少しすると
ひんやりとした空気が流れるようになるんだろうな。

一日の始まりである準備を全て済ませ、
いつも通り庭掃除から始めた。

土方「おはよう。今日も早いな」

A「おはようございます。
これが私のお仕事ですから」

土方「今日は俺の仕事も手伝ってくんねえか？
報告書を纏めるまで手が回らねえ」

A「分かりました。
お昼過ぎにお部屋へ行きますね」

土方「悪いな。頼んだ」

土方さんからの仕事の依頼は、
だいたい溜まって来た頃に言ってくる。

毎日忙しい人だから、
仕事が溜まるのは仕方ないよね。

それを今までは一人で寝る間も惜しんでやっていたのだから、
どれだけ大変だったんだろう…。

私が出来る事ならお手伝いして、
土方さんにはなるべく寝る時間を与えたい。

もし誰も手伝い人がいなければ、
きっとこの中で一番最初に倒れてしまうのは土方さんだから。

庭掃除もひと段落し、
竹箒を片付けて炊事場へと向かった。

A「あれ？誰もいない…」

誰もいない炊事場から足早に離れ、
姉様の部屋へと向かった。

早くしないと隊士さんたちが起きちゃう。
指示場へ隊士さんたちは来ないけれど、
廊下で鉢合わせとなっては大変だ。

A「姉様？朝餉の準備の時間だよ。
姉様？寝てるの？」

障子の外から声を掛けてみるけど、
姉様からの返答はない。

おかしいな…。
寝てるのかな？
それとも、もう起きて掃除とかしてるのかな？

しかし、総司をしているような人を見かけたわけでも、
音を聞いたわけでもない。

A「姉様、開けるよ？」

もう一度声を掛けてみるが、
やはり返答はない。

仕方なく姉様の部屋の障子を静かに開けた。

A「姉様、寝坊だよ？」

千鶴「A…。
なんか頭が、ボーッとするんだよね…」

A「え？！」

急いで布団を捲って姉様の顔を見る。