８２：手合わせ ページ42
ある日の昼下がり。
沖田「Aちゃん」
A「沖田さん。どうしたんですか？」
洗濯物を干し終わり、
井戸で片づけをしていた時だった。
ニコニコと満面の笑みを向けながら、
沖田さんは井戸の淵に腰掛ける。
その沖田さんの手には
二本の木刀が握られていた。
沖田「これから僕と手合わせしない？」
A「え？私とですか？」
沖田「Aちゃんは強いから、
一度手合わせしてみたかったんだ」
私が沖田さんと、手合わせ…？
吸血衝動が無くなった今、沖田さんは鬼。
そして、この新選組で
一、二を争う剣士。
……勝てる要素が何処にもないんですけど…。
A「沖田さんより劣りますし、
私には流派とかもないんですけど…」
沖田「大丈夫だよ。見てみたいだけだから」
A「は、はぁ…。それならいいですけど…」
沖田「じゃあ決まり！ほら、早く行くよ」
満足そうに笑いながら立ち上がり、
私の手を引っ張って道場とは違う方向へ歩き出した。
道場にはいつ隊士さんが来るか分からないから、
裏庭でやるんだって。
そこなら隊士さんには見つからないし、
幹部の人たちの住処の方だからいいかな？
裏庭に辿り着き、沖田さんは私に木刀を渡す。
沖田「いつでもいいよ。ちゃんと本気で来てね」
A「は、はい…。では、行きます！」
木刀を右手に持ち、
沖田さんに向かって駆け出す。
私の動きを見たり読んだりしながら
沖田さんは木刀を振るけれど当たらない。
それはもちろん、
沖田さんが手加減をしてくれているからなのだけれど、
それを私は避けられるし受け止められる。
沖田「やっぱり、Aちゃんはすばしっこいね」
A「そうじゃないと、自分が怪我しますからね！」
私が打ち込めば、それを沖田さんが受け止める。
沖田「それに、
Aちゃんの太刀筋はちょっと読みにくいな」
A「流派がありませんから」
沖田「それだけじゃ、ない気がするんだけどな！」
ちょっ！
手加減、忘れてませんか？！
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が…溢れて止まりません。 (2020年5月24日 15時) (
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作者名：まほろ | 作成日時：2019年9月12日 14時
