＊＊＊＊ ページ41
説得できるかどうかは
天霧君の腕次第だけど、
天霧君だから大丈夫だろう。
A「えっと、ありがとうございました」
斎藤「俺は何もしていない」
A「天霧君を引き留めてくださったから追いつけました」
屋根から飛び降りた時に驚いていたし、
私には気付いていなかったはず。
本当に偶然なんだろうな。
地面に降ろされた姉様に駆け寄り、
起こそうと体を揺らした。
A「姉様？姉様ー！」
千鶴「土方さんの、般若面…」
A「それはちょっと嫌だしいらないな…。
姉様！起きてくれないと帰れないよ！」
千鶴「スゥ、スゥ…」
もしかして、眠らされてる…？
そういえば天霧君が走っても、
姉様は起きなかったな…。
ここで最悪を想定して青ざめた。
姉様を抱えて歩く事は出来る。
でも帰る道が分からないから、帰れないじゃん！
A「どうしよう…」
斎藤「道が分からぬのだろう？」
A「え？ええ…、でも…」
斎藤「迷っていた人を助けた。それでいいだろう」
いい、のかな？
それって許されるのかな？
私なんかを連れて歩いていたら
斎藤さんの迷惑になるんじゃ…。
斎藤「夜も更けている。行くぞ」
A「あ、はい…」
そう言って斎藤さんは歩き出す。
慌てて姉様をおぶり、
斎藤さんの少し後ろを歩いた。
夜のおかげで人はいない。
少し後ろを歩いても見失う事はなかった。
姉様は何の夢を見ているのか、
時折寝言を言っていて、それが可笑しいったらない。
少しだけの夜の散歩。
静かな町を歩くのって、たまにはいいな。
しばらく歩くと見慣れた屯所の門が見えた。
A「ありがとうございました。
おかげで助かりました」
斎藤「……あまり、無茶はするな」
A「？…はい、気を付けます」
斎藤さんに頭を下げ、
姉様をおぶり直してから屯所の門へと向かった。
A「あ！土方さーん！」
土方「A！大丈夫だったか？」
A「大丈夫です。
姉様は眠らされているようで起きませんけど…」
原田「じゃあ、一人で帰って来たのか？！」
A「帰れるわけないじゃないですか。
通りすがりの人に送って頂きました」
沖田「危ない人だったらどうするのさ」
A「それを見極める事ぐらい出来ますよ」
嘘も方便。
数か月ぶりに斎藤さんに会えたし、
天霧君も話をつけてくれるって言ってくれた。
ちー君の襲撃には合ってしまったけれど、
それでも今日は良い日だったな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が…溢れて止まりません。 (2020年5月24日 15時) (
レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まほろ | 作成日時：2019年9月12日 14時
