【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ38)

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走ってくる相手。
しかも足の速い相手に対しては、
縦に振り下ろすより
横に払う方が有効だ。

それを分かっていたし、
ちー君ならそうすると思っていた。

間合いに入った瞬間、
ちー君の刀が私目掛けて横に払われた。

その軌道を見極め、屈んで受け流す。

膝のバネを利用して蹴りこめば、
もちろんちー君は…。

ガッ！

防御するため、
刀を握っていない左手で受け止める。

予想通り！

私はこれを待っていた。
受け止められた手を蹴って、
大通連が落ちた場所まで飛ぶ。

風間「ほう、考えたな」

天霧「もっと女らしい行動を取って欲しいものですね」

永倉「おいおい、身軽だな」

地面を蹴って飛ぶより、
少しでも高い場所から飛んだ方が飛距離は伸びる。

トンッと軽く地面に降りて、
大通連を手に戻した。

A「戦闘に女らしいも
男らしいもないと思うんだけどな」

不知「アハハッ！さすがAだな」

A「誉め言葉として受け止めておくよ、匡ちゃん。
ただ、よそ見してると怪我しちゃうから
気を付けてね」

その言葉が放たれたと同時に、
原田さんの槍が匡ちゃん目掛けて飛び出す。

原田「よそ見してっからだぞ」

不知「はん！Aの受け売りかよ」

風間「不知火。先によそ見をしたのはAだ」

A「そこは突っ込まないで欲しいな」

もう一度大通連を構え直し、
ちー君に向かって走ろうとした時だった。

天霧「私は先に行きます。
このままでは、この娘に傷がついてしまいますから」

風間「いいだろう。行け」

天霧君は小さくお辞儀をすると、
飛ぶように屯所の門を超えて行ってしまった。

姉様が連れて行かれた！
天霧君の足に付いて行けるのは私だけだ！

A「土方さん！ここはお願いします！」

土方「早く行け！」

A「はい！」

手早く大通連を仕舞い、
天霧君を追って走り出す。

追いかけるなら迷う事はない。

帰りの心配はあったけど、
その時は姉様を起こして連れて帰ってもらおう。

そんな事を考えながら飛ぶように走った。

だけど天霧君の足は私より速くて、
追い付く事は困難。

天霧君って、こんなに速かったっけ…？
子供の頃だったし、手加減されてたのかな？

このまま道を走っても追いつけない。

それなら！

屋根の上に飛び乗り、
障害物がない状態での疾走を選んだ。

天霧君は路地を縫うように走る。

それを追いかけるように、
屋根の上を静かに走った。