【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ34)

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土方「俺たちの事が
信用できねえのか？」

その答えも出ている。

A「信じすぎている程、信じています。
頼りにし過ぎている程、頼りにしています。
本当、申し訳ないぐらい…」

土方「だったら、俺たちの事だけ信じてろ。
他の奴が信じられねえなら信じなくていい。
俺たちはお前らを売ったりはしない。
引き渡すつもりもねえ。
それは山南さんだった同じだ。
もし山南さんがお前を売ったり引き渡そうとしてるなら、
もう既にお前は実験台にされてる。
だがこの数か月、山南さんにそんな動きはねえ。
山南さんもお前らを売る気も、
引き渡す気もねえんだろうよ」

A「信じられるものだけ、
信じればいいって事ですか…？
それが見極めるって、事…？」

土方「そうかもしれねえな。
信じる努力をしても信じ切れねえなら、
きっぱりと見限れ」

A「見限る…？
一度信用しようと決めたのに、
信用しきれないからって見限っていいんですか…？」

土方「お前はそれでいいんだよ。
お前に駆け引きは似合わねえからな。
信用できる奴らだけ傍に置け。
そんで、お前が苦手な事は、
それが得意な奴に任せりゃいいんだよ」

A「人任せにしていいんでしょうか…？
やって欲しくない、やらせたくないって思うなら、
自分でやった方がいいんじゃないかと思ってしまう…」

土方「決めかねるなら相談しろ。
何でもかんでも一人で決めるんじゃねえよ。
仲間を大切に思う気持ちには感服する。
だがな、それ以上に自分を大事にしろ。
お前にはそれが足りねえ。
そんな事、斎藤が聞いたら泣くぞ」

何故ここで斎藤さんの名前が出て来るのか、
さっぱり分からなかった。

A「斎藤さんが泣くとか、想像できません」

土方「何だ、独り言は終わったのか？」

A「え？あ、はい…」

土方「独り言を言ってる時の方が、
手が動いていたぜ」

ククッと喉を鳴らして土方さんは笑った。

無意識に止まってしまっていた筆を動かし、
途中だった書類を書き上げた。