【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ27)

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あれ？反応が返ってこない。
もしかして、怒っちゃった？

A「すみません。悪戯が過ぎましたね」

斎藤「いや…、本物の芸妓のようだな」

A「そう見てくださるなら成功ですね」

これまたフフッと笑うと、
それからは斎藤さんからの質問の嵐。

何故髪が白いのだとか、
どのように座敷にいたのだとか。

その質問の全てに笑顔で答えた。

質問攻めが嫌にならなかったのは、
こんなに自分から話をしてくれる斎藤さんが
珍しかったからだと思う。

斎藤「あんたは三味線が弾けるのか」

A「ええ。小さい頃に習っていましたから」

斎藤「それで地方と…」

A「さぁ、外も静かになりましたし、
そろそろ行きましょうか」

一歩踏み出した所でクイッと腕を引かれ、
斜め後ろを見れば
真剣な眼差しの斎藤さんと目が合った。

A「どうか、なさいました？」

その答えは何もなく、
その代わりに髪に刺さっている簪をひと撫でする。

シャラッという綺麗な音を少しだけ鳴らし、
すぐに静寂が戻ってきた。

A「あの、斎藤さん？」

斎藤「……すまない。
その姿を見れなくなるのは、少し惜しいと思ってな」

A「えっと、それはどういう…」

斎藤「ただの戯言だと思ってくれ」

私の腕を放し、
斎藤さんは部屋から出て行ってしまった。

何が言いたかったんだろう…？

疑問には思ったが、
この姿のままでは帰れない。

着替えをする為に部屋を出た私は、
すれ違うお客さんたちに

「是非、自分たちの座敷に！」

と何度も言い寄られてしまった。

そのすべてを一蹴しながら歩いていたのだが、
そんな私を見かねたのか、
前を歩いていた斎藤さんが助け船を出してくれたのだ。

そのおかげで、
それ以降は話しかけられる事はなかった。

屯所襲撃を企てようとしていた不逞浪士たちは、
偶然居合わせた新選組の幹部たちに囚われ、
襲撃は未遂で終わった。

私と姉様の内偵調査は、これにて幕を閉じた。