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73:作戦開始 ページ24

菊月「おまっとさんどす。
今晩、旦はんたちの
お相手をさせて頂きます。君菊どす」

千鶴「鶴華です」




私は地方だから名乗らなくていいと言われたため、
名乗らず微笑んで頭を下げるだけだ。

位置に付き、目の前にイロハ譜を広げると、
しっとりとお三味線を弾きだす。




浪1「なあ、君菊。
白髪で芸妓の地方とは珍しいな」

菊月「へぇ。もうすぐ襟替えなんどす。
地方志望やさかい、慣れさせておきたいんどす。
まるで練習のお座敷みたいになってしもて、堪忍え」

浪1「いや、あんな別嬪な地方なら、
こっちから願い出たいものだ!」




ハハハッと笑う浪士。

見掛けは物腰の柔らかい人なんだけど…。
本当に屯所襲撃なんて考えてるのかな?


そしてお座敷にはどんどんお酒が回り、
酔っ払いが増えて来た。




浪2「フンッ!幕府の犬め!」

浪3「新選組など、恐るるに足らん!
奴らにはいずれ目にもの見せてくれる!」

浪4「何か妙案でもおありかな?」




これは、襲撃の算段を始める所なのかな?


イロハ譜を見ながら、耳だけはそちらへと向ける。
姉様も聞き耳を立ててはいるみたいなんだけど…。

何せキョロキョロとしすぎだ。
ちょっと、動きが怪しいすぎる気がする…。




浪1「そこの芸妓、どうした」

千鶴「い、いえ…」




やっぱり動きすぎだな…。


途中だった曲のイロハ譜をペラッと一枚退け、
違う曲を弾きだす。

急に様変わりしたお三味線の音に、
浪士たちの注目は私へと集まった。


そう、それでいい。
私に注目すればいいんだ。


少しの沈黙の後、話が再開される。




浪2「時にお前、もう贔屓の旦那はいるのか?」

千鶴「えぇ?!あ、いえ…」

浪2「どうだ?俺の妾になるなら、今のうちだぞ?」

千鶴「えぇ?!いえ、そんな…」

浪2「初々しいのう」




……汚い手で姉様に触るな。


なんて言いたいけれど、
今はヘマをするわけにはいかない。

なるべく表情に出さないように。
でも、姉様の方へ意識を向ける。

それと同時に浪士たちの話にも聞き耳を立て、
話を聞くんだ。

襲撃の日程を決めあぐねているのか、
確証はなかなか言わないな…。


そう思っている時だった。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が…溢れて止まりません。 (2020年5月24日 15時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月12日 14時

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