【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ21)

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７１：女は度胸！ページ21

なんという無茶ぶりを…。

ハァ、と一つため息を吐き、
女は度胸だ！と心の中で喝を入れる。

それから皆さんの席を回りながらお酌をするのだが、
ほとんど原田さんたちの席だ。

永倉「こんな別嬪さんに酌なんてされたら、
飲まねえわけにはいかねえよな！」

A「永倉さんは、さっきから飲んでますよ？」

原田「A、そんな事しなくていいんだぜ？」

A「大丈夫ですよ、お酌ぐらい。
私でよければいつでもしますよ」

ニコニコと笑いながらお酌をすれば、
そう言っていた原田さんも嬉しそうに飲んでくれる。

こんなので喜んでくれるなら、
お酌ぐらいならこれからもしようかな？

沖田「Aちゃーん、こっちも来てよ」

A「今行きますね」

持っていた徳利を永倉さんの膳に置いて、
沖田さんの元へ向かう。

沖田さんの隣、
姉様が座っていた場所に座り、
沖田さんの膳に乗っていた徳利を持ってお酌をする。

沖田「Aちゃん、凄くいい匂いがするね」

A「え…？お着物の匂いでしょうか？」

袂を持って鼻に近づけてみる。

そういえば衣装部屋のような場所も、
この匂いで溢れかえっていたような…。

何の匂いなのかを考えていると、
急に頭の上からシャラッという音が鳴った。

不思議に思い目線を上に向けると、
沖田さんが髪に刺さっている簪を触った音だった。

A「どうかしましたか？」

沖田「綺麗だなって思って」

A「簪ですか？確かに綺麗ですよね」

沖田「いや、Aちゃんがだよ」

A「…………はい？酔ってます？」

沖田「かも、しれないね」

微笑む沖田さんは、やっぱり酔ってる気がする。
これ以上、飲ませるのは止めておこう…。

持っている徳利を沖田さんの膳に戻した。

土方「そろそろ帰るぞ」

襖の向こうから出てきた土方さんの言葉で
宴会の幕は閉じた。

次の日、兄様宛ての文を出し、
その一月後に兄様は謝罪をしに屯所を訪れて来た。

土方「妹たちに謝らせてんじゃねえよ！！」

兄様は土方さんに大目玉を食らい、
滾々と説教を受けた。

けれど、藩の状況もあるだろうと
情状酌量で解放。

そんな兄様は
半泣き状態で帰って行ったのだった。