【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ18)

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私の方向音痴は
原田さんも知ってるはずなのに…。

どうしてそんな事を聞いてきたんだろう？

三条大橋なんて行った事もないし、
行けるはずもない。

永倉「おい、どうしたんだ、左之？」

原田「いや、実は…。
土佐藩氏を取り囲んだ時、
Aによく似た女に邪魔されたんだ。
それでこっちの包囲網が崩れちまってな…」

私に似た、女…？
土佐藩……？！

私は一気に青ざめた。
隣に座る姉様を見れば、
姉様の顔も青ざめている。

考える事は一緒のようで、
私と姉様が立ち上がったのは同時だった。

永倉「んぁ？二人とも、どうしたんだ？」

息を合わせたように皆さんの前に座り、
深々と頭を下げた。

千鶴「も、申し訳ありません！」

A「それはきっと兄様です！」

全員「はああぁぁ？！」

沖田「ちょ、ちょっと待ってよ。
確かに似てたけど…」

藤堂「似てた、か？
雰囲気は似てたような気がするけど…」

土方「どういう事か説明しろ！」

兄様は姉様を見守る為、
私に似せて女姿になっている事。

村を出た後、はぐれ鬼と勘違いされ、
土佐の鬼である南雲家の養子に入った事。

そして、もしかすると
敵対する可能性があるかもしれないと言われた事。

私たちの説明が終わりと、
土方さんは盛大なため息を吐いた。

土方「兄って事は男なんだろ？
いくら兄妹でもAに似るか？」

永倉「Aちゃんの襲名の日にいた男だろ？
………似てたか？」

あの日の兄様は、
礼装着で女姿はしていなかった。

女姿を見た事があるのは、
沖田さんと平助君だけ。

その兄様を見た事がある二人でさえ、
疑問視しているようだった。

菊月「せやったら！
女姿にしてみまひょか？」

永倉「おお！そりゃ名案だ！
君菊さんよ、お願いできるか？」

菊月「よろしおす。万事心得てますえ」

近づいて来た菊月さんは、
私と姉様の腕を掴んで引きずるようにして
部屋を出ようとしている。

A「ちょ、まっ！
数か月前に見てるじゃないですかぁ！」

千鶴「な、何で私までぇ？！」

私たちが部屋から出るのを見計らい、
禿(かむろ)さんが襖をピシッと閉めてしまった。