【薄桜鬼】純血を巡る者４ (ページ2)

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どうしたら泣き止んでくれるだろう。
どうしたらAは
自分を責める事をやめてくれるのだろう。

できるだけ優しく、
安心させられるように努めながら言ったはずなのだが、
Aの涙が止まる事はなく、
泣き声はさらに大きくなったような気がする。

ひと際大きな泣き声を上げたかと思えば、
Aの手が俺の背中に回り
きつく寝間着を掴む。

A「ごめんなさい、沖田さんっ、ごめんなさい…っ。
それでもっ、それでも、
生きる事を選んでくれて、ありがとうございます…っ」

抱きとめているのは俺なのだが、
Aの口から洩れる名前は総司のものばかり。

それでも今は、
総司を思って泣くAの為に俺は俺を押し殺した。

ひとしきり泣くと、
やっとAの泣き声が止まった。

嗚咽は残ってはいるが、
それでも涙が止まった事に安堵した。

きつく握っていた手は緩まる。

A「すみません。
お見苦しい所をお見せしました…」

斎藤「構わぬ。落ち着いたか？」

A「はい…。もう大丈夫です」

真っ赤に腫らした目で笑う。
残った涙を指で撫でてやれば、
擽ったいのか、フフッと小さく笑った。

斎藤「無理に笑う必要はない」

A「大丈夫です。何だか斎藤さんには、
醜い姿ばかり見せてしまっていますね」

斎藤「そんな事はない。気にするな」

人の事ばかり気にしているAが
痛々しく見えてしまう。

だが、その儚さがまた愛おしく感じてしまうのだから、
俺も困ったものだ。

A「今日は泣いてばかりな気がします。
昼間も土方さんの前で泣いてしまいました」

斎藤「……土方さん？」

A「沖田さんの話をしていて、その時に。
土方さんの胸を借りてしまいました」

斎藤「…………は？」

その時の事を思い出したのか、
Aは柔らかく笑った。

何故だろう…？
この怒りに似た感情は…。

相手は土方さんだ。
何を考えているのだ。