【薄桜鬼】純血を巡る者３ (ページ9)

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私が答えを出すのを憚っていると、
斎藤さんは小さなため息を一つ吐いた。

斎藤「あんたは甘えるという事を覚えた方がいい」

A「十分甘えてしまっていると思うのですが…」

斎藤「あんたのは甘えじゃない。遠慮だ。
辛い時には頼ればいいし、助けが必要なら呼べばいい。
したい事や、して欲しい事があるのなら
言えばいいのではないか？」

遠慮、してるのかな？
でも私の事で迷惑はかけたくないんだもん…。

ずっと甘えなんてものから遠ざかっていた者だから、
甘え方なんて覚えてないし分からない。

斎藤「体は、辛くないか？」

A「怠いなって思います…」

斎藤「他に思う事は？」

A「上手く体が動かないから、もどかしいです…」

斎藤「それならば、そう伝えればいい。
今は俺がいるのだから何でも言えばいい」

まるで誘導尋問。
それでも自分が思っている事を少しでも言えた事には驚いた。

斎藤さんは静かに布団へ寝かせてくれる。
それはきっと体が怠いと言ったからだろう。

A「私がここにいて、迷惑ではないですか？」

斎藤「迷惑ではない。
迷惑だと思っていたら担いででも部屋から追い出す」

斎藤さんなら本当にやりかねないな。

その姿を想像したら何だかおかしくて、
自然と笑いが漏れてしまった。

しかも想像の中で担がれていた人物は
平助君だったから、余計に笑いが零れる。

何も言わない斎藤さんだったけれど、
表情で「何がおかしい」と言っている。

これ以上笑っている事が分からないように、
首まで掛けてくれた掛け布団を引き上げて鼻まで被った。

あ…、この匂い…。

A「このお布団、いい匂いがします」

斎藤「……は？」

A「すごく、安心する……、いい匂いが…」

今の私に、この匂いは睡眠薬だ。