【薄桜鬼】純血を巡る者３ (ページ45)

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６１：分かれ道ページ45

沖田さんが
歩いて行った方向へ走った。

何処へ行ったのか分からない。
もう、沖田さんの姿は見当たらなかったから…。

まがい物の事を言っていたし、
もしかしたら山南さんの所へ行ったのかもと思ったけれど、
山南さんの部屋の近くで
沖田さんの声は聞こえなかった。

もう一度走り出し、沖田さんを探す。

土方「てめえ、何言ってやがる！」

土方さんの部屋の前を通り過ぎようとした時、
土方さんの怒声が聞こえて立ち止まる。

もしかして、ここにいるんじゃ…？

沖田「だから、変若水が欲しいって言ってるんですよ」

やっぱり、ここにいる！
すぐに縁側に上がり、
土方さんの部屋の障子を許可もなく開け放った。

土方さんが驚きの目で見て来る。
沖田さんは背を向けたまま、
こちらを向こうとはしなかった…。

A「まがい物を、飲んではいけません！」

土方「お前、何で…」

A「沖田さん、よく聞いてください。
まがい物で病気は治らないんです！」

沖田「やっぱり、そうなんだね」

土方「病気、だと？！
おい総司、どういう事だ！」

え……？
今、その話をしていたんじゃ…。

土方さんは病気の事を知らなかった。
沖田さんは労咳の宣告を受けた事を
淡々と土方さんに話をする。

土方さんの眉間には
一本、また一本と皺が寄り、
とうとう沖田さんから目線を外してしまった。

まがい物を飲むという事は、
生半可な覚悟では出来ない事。

ここの人たちなら、それは分かってるはず。

ゆっくりと部屋の中に入り、
沖田さんの前に座った。

もう、あの提案をするしかないんだ…。

降事頃に手を入れて、
沖田さんの目の前に変若水を出した。

土方「何、出してやがる…っ！それは！」

A「私たちの変若水であれば
沖田さんの病気は治ります。
沖田さんがこれから私の言う事を聞いて理解し、
それでも覚悟が揺らがないのであれば、
これを渡しても構わないと思っています」

土方「いいわけねえだろ！
それは、お前が命がけで作ったもんだろうが！」

A「それでも私は！
沖田さんが生きる事が出来る選択肢があるなら、
提案したいと思います…」

泣いちゃ駄目。
今泣いたら、沖田さんが困るじゃない…。