【薄桜鬼】純血を巡る者３ (ページ44)

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労咳は治らない。
死を待つしかない病気…。

どんどん衰弱していって、最後は…。

考えるだけでも辛く悲しい…。

千鶴「治せるなら治してあげたい！」

A「私も、治せるなら治してあげたい。
でも…」

千鶴「どうして迷うの？！
沖田さんは新選組の為に最期まで戦うって言ってた！
だから、ここを離れて療養するなんて選択肢はないって！
それならちゃんと治してあげて、
悔いのないようにしてあげたい！」

姉様は私の肩を掴みながら訴えて来る。

もちろん私だってそうしてあげたい…。
でもそれは沖田さんの人生を
完全に変えてしまう事になるから…。

どうしたら、いいんだろう……。

沖田「Aちゃん…。
今の話、どういう事…？」

後ろから急に沖田さんの声が聞こえ、
驚きで肩が跳ねた。

振り返るといつもの沖田さんとは違っていて、
真剣な面持ちだった。

松本先生との会話を
姉様が聞いていると感じていた沖田さんは、
話を終えると姉様を追ってきたらしい。

私が口を開くのを渋っていると、
沖田さんの口からとんでもない言葉が聞こえてきた。

沖田「俺たちの変若水って、
病気も治せるのかな…？」

な、にを、言っているの…？
何を考えているの…？！

額から、背中から、冷や汗が流れ出た。
気持ち悪い感覚と嫌な予感が体中を支配する。

A「何を、考えているのですか…？」

沖田「ん？何だろうね？」

私たちに向かってニコッと笑うと、
背中を向けて歩いて行ってしまった。

寒気がする…。

こんなに空気は暖かいのに、ものすごく寒い…

震える体を自分自身で抱きかかえ、
何とか震えを抑えようと試みた。

そんな私を見て心配したのか、
俯く私の顔を覗くように見て来る。

千鶴「どうしたの…？大丈夫？」

A「沖田さん、まがい物を使おうとしてるんじゃ…」

千鶴「……かも、しれないね…」

A「駄目だよ！まがい物では、病気は治せない…」

千鶴「え？！じゃ、じゃあ、沖田さんはっ！」

A「ただの羅刹になっちゃう！
労咳も伴えば、命を縮める事しかない…っ！」

ここの人たちを羅刹にするわけにはいかない！
まがい物なんて、
どんな理由があっても使っちゃ駄目なんだ！

A「まがい物を、使わせるわけにはいかない！」

そう叫んで姉様の手を振りほどいて走りだす。
後ろから姉様が呼び止めるけれど、
その声は聞こえないフリをした。