【薄桜鬼】純血を巡る者３ (ページ30)

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５５：将軍様の警護ページ30

兄様と話をしてから数日後。
私は大広間の廊下に
腰を下ろして中の話を聞いていた。

中に入らないのは、そこに姉様がいるから。
姉様と同じ空間にいて、
隊士さんたちに見つかるわけにはいかないもん。

近藤さんの話を聞いてみると、
どうやら将軍様が上洛するようだ。

その敬語を新選組に。
と、要請が下ったらしい。

近藤さんの声音は嬉しそう。
そんな声に私の頬も緩んだ。

伊東「上洛の警護とはまた…。
もしも山南さんが生きていれば…。
本当に惜しい人を亡くしましたね」

あの人は余計な事しか言わないな…。

山南さんの傷は私が治したから、もちろん生きている。
だけど、山南さんは幕命である
まがい物の研究に没頭するため、
亡くなった事にして欲しいと言い出したんだ。

皆さんは反対していたけれど、
その研究が出来るのは山南さんだけ。

新選組としての仕事は他の皆さんに任せ、
山南さんはまがい物の研究と羅刹の管理を請け負ったんだ。

近藤「ともあれ、これから忙しくなる。
まずは隊士の編成を考えねばなるまいな。
そうだな…、俺とトシ、総司…」

土方「っと、悪い近藤さん。
総司は今回外してやってくれねえか？
風邪気味みてえだからな」

沖田さんが、風邪…？

近藤「そうなのか？総司、大丈夫か？」

沖田「自分では別に問題ないと思うんですけどね。
土方さんは大袈裟だから」

土方「問題ないじゃねえよ。
さっきも咳してただろうが」

沖田「やれやれ、土方さんは過保護すぎるんですよ」

また、咳してたんだ…。

実は私もずっと気になってたんだ。
あの咳、ちょっと風邪とは違うような…。

見ようと思えばこの目で見れるし、
それが何の咳なのか分かると思う。

でも、私には見る勇気がないんだ…。

近藤「どうした？平助」

ん？平助君？

藤堂「あぁ…、近藤さん。実は俺もちょっと調子が…」

近藤「何だ平助も風邪か？
せっかくの晴れ舞台、全員揃って将軍様を迎えたかったのに」

藤堂「ああ…、すんません」

平助君も調子が悪いんだ…。
そんな様子、全然なかったんだけど…。

それなのに、兄様探しに連れ出してしまったんだ。
申し訳ないな…。

土方「で？お前はどうするんだ？」

千鶴「はい？」

土方「呆けてんじゃねえよ。
お前は敬語に参加するのかって聞いてんだ」

千鶴「わ、私もですか？」

この場に参加しているんだ。
姉様に話が来たっておかしくない。