【薄桜鬼】純血を巡る者３ (ページ28)

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それから話をしてみれば、
ずっと姉様を見守り続けている間に
私の姿も見つけ、
どうしているのかと不思議に思っていたそうだ。

だけど私の話で、やっと合点が行ったらしく納得した。

南雲「それで？俺に何か用？」

A「何故、南雲という姓を名乗ってるの？
南雲は土佐の鬼でしょ？」

南雲「俺が千鶴を見守るために村を出された後、
はぐれ鬼だと思われて拾われたんだ。
千鶴を見守るという目的が果たせるなら、
俺には姓なんてどうでもいい事だったからね」

A「そう、だったんだ…」

兄様は女鬼ではなかった事や、能力血を持たなかった事。
それだけの理由で姉様以上に虐げられてきた。

あの頃の兄様は見ているのが辛いほど
可哀想なものだったな…。

だからこそ、雪村の姓に拘りなんてないんだ…。

南雲「それよりA、いいのか？人と一緒にいて」

A「うん。父様の意思でもあるから」

南雲「父様の…？」

A「数か月前、私たちの村の跡地へ行った時、
父様からの文を見つけて書かれてたの。
父様はずっと人との共存を望んでいたって。
それなら私は、その意思を継いで人との共存を試みようって」

南雲「でも、あまり関わりすぎないようにね。
俺は南雲家に拾われて、色んな人と関わって来た。
俺が関わって来た人は、
正直言って醜く汚い心の持ち主が多かった。
お前たちに、そんな人たちと関わりを持たせたくはない」

A「大丈夫。私たちが関わっている人たちは
醜く汚い心の持ち主なんて誰一人いない。
とても優しくて、私たちが鬼だと知っても
守ってくれようとする人たちばかりだよ。
父様の文にも書かれてた…。心根の優しい人はいる。
だから、そういう人を見極める目を養いなさいって」

兄様はずっと眉を顰めていたけれど、
それでも私の頭を撫でながら微笑みに変えてくれた。