４９：縁側 ページ17
A「寒…っ」
寒さで目を覚ませば、
隣に寝ていたはずの斎藤さんの姿はなくなっていた。
上半身を起こしてみれば、
昨夜とは打って変わって軽く動かせる。
いつ起きたんだろう？
部屋の中を見回してみても
部屋の主である斎藤さんの姿は何処にもなかった。
脚に力を入れてみれば
フラフラとするものの簡単に立つことが出来た。
睡眠って大事なんだな…。
量より質なのかもしれないけどね。
壁を伝って障子まで言って開ければ外は快晴で、
寒いけれど日差しがとても気持ち良かった。
縁側に座り、柱に体を凭れ掛からせる。
ああ、空気が美味しい…。
A「今日って、いつだろう？」
時折吹く風が心地よくて、瞼が落ちてしまう。
こんな所で寝てはいけない。
それこそ風邪引いちゃうもんね。
寝ないように。
だけど瞼は閉じて外の空気を堪能していた。
山崎「A君？そんな所で何をしているんだ」
A「おはようございます。
ちょっと外の空気に当たりたくて」
山崎「あまり長居をすると風邪を引く。
暇を貰ったと聞いていたが体調でも悪いのか？」
A「え？……ああ、はい。
ちょっと疲れていたようです。
ところで、私がお暇を貰って今日で何日目でしょうか？」
山崎「今日から復帰と聞いていたのだが…」
A「そう、ですか。もう三日経ってしまったんですね」
山崎「大丈夫か？俺は副長の所へ行く。
あまり長居をせずに部屋へ戻るんだぞ」
「はい」と返事をすれば山崎さんは庭から縁側に上がり、
土方さんの部屋へと向かって行った。
そうか、もう三日経っちゃったんだ。
やっぱり一気に変若水を作るっていうのは無謀だったのかな？
土方さん、もう一日お暇をくださるかな？
もう一度柱に凭れ掛かる。
鳥の囀りが、とても心地いい。
体の怠さは無くなったけれど、
ずっと寝たきりの状態だったから足が追いつかない。
耳を澄ませば遠くの方で隊士さんたちの
稽古をする声が聞こえてくる。
いつもと変わらない日常が、この屯所では流れているんだ。
何だか私だけが取り残された気分…。
そんな事を考えていると、
急に背中に何かを掛けられた。
肩を見れば紺に近い紫色の羽織。
後ろを振り返れば、
そこには困ったような笑顔で膝をつく土方さんがいた。
A「おはようございます」
土方「一人で出てきたのか？」
A「何とか歩けるようになりましたので。
あの、もう一日お暇を頂く事って出来ますか？」
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 涙が溢れて。 (2020年5月23日 22時) (
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作者名：まほろ | 作成日時：2019年9月9日 14時
